2015年10月30日金曜日

お母さんの味を見つける   イギリスのお庭のリンゴでつくるアップルクランブル(Apple and Blackberry Crumble)

国や文化が違えば食文化もいろいろ。でもお母さんにはみんな、そのお母さんの味があります。海外で子供が喜ぶお母さんの味を教えてもらいました。


あるイギリス人女性の「お母さんの味」

私がロンドンに住んでいた時、ひとりのイギリス人のお母さんと仲良くなりました。その方はお菓子を焼くのがとても上手で、いろいろなイギリスのお菓子を教えてくれました。その中のひとつが、アップルクランブルで彼女自身が子供時代によく食べていた懐かしの味だそうです。

「家の庭にリンゴの木があって秋になるとたくさんリンゴがとれるのよ。リンゴは好きだったけれど、あんなにたくさんのリンゴを家族で食べるのは大変だったわよね。だから私の母はよくリンゴのお菓子も焼いてくれて。リンゴとブラックベリーのクランブルは一番好きだった。ブラックベリーも庭でとれたものを使うのだけれど、夏にとったものを冷凍しておいていつも使っていたわ。」

「クランブルって戦時中のバターや小麦があまりなかった時代にパイの代わりとして作られるようになったものだけれど、パイよりも簡単だし、今は立派なデザートとして人気があるわね。私の子供はアイスクリームと一緒に食べるのが好きだし、私の夫は断然、カスタードクリームね。」

そんな話をしてくれました。イギリスは正直言って食文化があまり豊かとは言えませんが、お母さんの懐かしの味は話が盛り上がりました。


お母さんのアップルクランブルはどんな味?

彼女のお母さんの味、私も時々作るようになりました。果物の優しい味とクランブルのサクサクした食感、温かいクランブルに冷たいクリームという組み合わせが絶妙です。彼女のレシピを少しだけ日本人向けにアレンジしてみたら子供たちも大好きになりました。

リンゴは、イギリスでは酸味の強いリンゴを使うことが多いようですが、私はフジリンゴで作っています。普通の砂糖より粗糖を使うとサクサクした食感が楽しめるのでおすすめです。食べ方も、私にはカスタードでは甘すぎるので、クレームフレーシュと一緒に食べるのが好きです。これはサワークリームの一種で日本ではあまり一般的ではないかもしれません。クランブル自体砂糖をだいぶ減らしているので、アイスクリームで試してみるといいかもしれません。最後にレシピを載せましたので是非作ってみてください。

私は先日も子供と一緒に作ってみました。

材料を切ります。


バターと小麦粉を混ぜてクランブル生地を作ります。この混ぜ方はイギリスのお菓子のレシピにはよく出てきます。

焼き上がり。表面がゴールデンブラウンになるまで焼きます。

お皿にとりわけてクレームフレーシュを添えました。

材料はシンプル、作り方も簡単で、お母さんの味はやさしいです。



アップルクランブルのレシピ

材料:
リンゴ 700g
シナモンパウダー 小さじ1
水 大さじ2
ブラックベリー 50g100g

無塩バター 75g
小麦粉 125g
ベーキングパウダー 小さじ1/2
粗糖  55g
ピーカンナッツ 75g

作り方:
1.      リンゴは皮をむいて薄くスライスし、シナモンパウダーと水とともに鍋に入れ、ふたをして火にかける。
2.      中火くらいで数分間、リンゴが柔らかくなるまで煮る。
3.      バターは冷蔵庫から出したらすぐにさいの目に切り、小麦粉とベーキングパウダーと一緒にボールに入れる。
4.      バターを指でつぶしながら小麦粉と混ぜ、荒いパン粉のようになるまで細かくつぶす(子供が作っている写真が参考になるでしょうか)。
5.      4のボールに粗糖と荒く刻んだピーカンナッツを加えて混ぜる。
6.      オーブン用の深皿にリンゴを敷き、その上にブラックベリーをまんべんなくのせる。
7.      さらに5を全体にまんべんなくかける。
8.      180度に熱したオーブンで30分程度焼く。
9.      お好みで生クリーム、アイスクリーム、カスタード、クレームフレーシュを添える。


野口由美子 

2015年10月24日土曜日

男性の育児休暇、イクメンって恰好だけ?

お母さんはがんばっていて当たり前。赤ちゃんの世話に追われて時間がないのも仕方がないこと。私も母親とはそういうものだと思っていました。確かにそんなお母さんは立派だけれど、本当にここまでがんばっていなければならないのだろうか、親が立派でなくても子供に笑顔でいられる余裕があった方が、子供も幸せなのではないか。

ただの一人の母親に過ぎない私が海外で思ったことに対して、いろいろな方の意見を聞いてみたいという思いがあり、「母親は時間がなくて当たり前、ではない」というタイトルの記事を書きました。実際、記事に対して、いろいろ考えさせられるコメントをいただきました。



日本とオランダ、父親の立場が全く違った

この記事は母親に焦点を当てていましたが、実は父親の扱いが問題でした。


私はオランダの育児ガイドを記事で引用しましたが、引用箇所だけでなくさらに読み進めると、ここで自分の時間を持つことが必要と呼びかけられている「あなた」は、母親だけでなくパートナー、父親も含まれていることに気づきます。母親と父親両方が少しの時間でも子供を預けてリフレッシュする時間を持ちましょう、というのが育児ガイドの内容でした。父親も母親同様に赤ちゃんの世話に追われていて大変、という前提があるのです。

これは日本の状況とちょっと違う、と私は考えました。海外の話を紹介しても日本と状況が違って参考にならない、と言われては面白くないので、私は自分の経験を持ち出して、オランダの育児ガイドから離れた自分の意見を入れることにしました。

赤ちゃんの世話を父親に見てもらって、母親も少しリフレッシュするのはいいことではないでしょうか。


やっぱり父親は仕事?

日本では父親の育児参加がこれからもっと増えていく段階ではないだろうか、と私が思ったので、このような意見発信をしました。この意見に対して、違う認識の意見をいただけたら父親の子育て参加は進んでいることになるだろうという期待もありました。

父親は母親と育児を一緒にする立場なのだから、母親が父親に頼む、という感覚自体がおかしいのではないか
というコメントをいただきました。もっともな意見です。このような考え方こそが当たり前であってほしいと思いました。

しかし、いただいた他のコメントを拝見していると、父親が一緒に育児をする立場にいるというよりは、
父親は仕事が忙しくて育児に関われない
という現状であり、赤ちゃんをめぐる環境をよりつらくしているように感じられました。父親は仕事に追われ、母親は育児に追われ、私の想像以上に家庭は孤独であったようです。


父親の育児休暇が当たり前だったら

私が所属している会社では男性の育児休暇取得率が高いそうです。ここ数年ではほとんどの男性社員が取得しているとのことでした。弊社男性社員の育児休暇は、大抵の場合数週間から数か月、完全に休暇を取るというより週の半分くらいは仕事をするというパターンもあるようです。

ちょうど子育て世代の社員が多いベンチャー企業なので高い取得率が実現できているのかもしれません。しかし、仕事そのものというより企業文化次第で、意外と育児休暇の定着するのではないかと思います。

正直なところ、この話を聞いた時私は特に何も思いませんでした。所詮、子供が生まれてからの数週間だけ、夫が休暇を取ったからって数週間では子育てについて何も終わらないし、むしろそれで「イクメン」だと恰好だけになるのもかえって面倒、とさえ感じていました。

でも、今回記事を書いてみて、自分は間違っていたと考えるようになりました。赤ちゃんが生まれて数週間だけでも、仕事より赤ちゃんを優先できる生活を送ること自体、仕事に忙しい父親にとっては貴重な経験になるのではないでしょうか。育児に対する価値観を夫婦で共有できる機会になりますし、短期間でも家庭内が孤独でなくなります。

数週間の父親の休暇ですべてが解決されるわけではありません。でも、たとえ恰好だけであったとしても、いいきっかけにはなるのではないか、と考えるようになりました。そういうきっかけから、赤ちゃんをめぐる家庭や会社や、社会そのものが変わるかもしれないと。

父親も育児休暇を取って当たり前、というのはどうでしょうか。


野口由美子

2015年10月20日火曜日

マネしたくなる誕生日パーティー

5歳の誕生日をお祝いします!公園で宝さがしパーティーです。ぜひ来てね。

私が住んでいだイギリスでも今いるオランダでも、子どもの誕生日は一大イベントです。子どもが2, 3歳くらいからでしょうか、お友達をたくさん、15人、20人くらい呼んで盛大なパーティーを開きます。多くの子ども向け施設にはパーティープランがあります。アムステルダムだったら、乗馬クラブの乗馬パーティー、ゴッホ美術館が会場のアートパーティー、もありますし、自宅に手品や遊びをしてくれるエンターテイナーを呼ぶ、というやり方もあります。

家族だけ、もしくは親しい友達数人呼んで自宅で祝う誕生会を日本でやっていた私から見るとかなり派手です。子供にとって1年で一番大切な日、親はいろいろ趣向を凝らし、呼ばれる方もできるだけ都合をつけてプレゼント持参で駆けつけます。

いろいろな誕生日パーティーがあるのですが、先日下の子が出席した宝さがしパーティーは私の子どもが参加した誕生日パーティーの中で歴代1位のすばらしさでした。

公園中で遊ぶ手作りのパーティー 

まず、会場は学校の近くの普通の公園(アムステルダムにある普通の公園ですが3キロくらいのマラソンコースがありそうな広さです)。幸運にも晴天に恵まれました。

そして集まった子どもたちに誕生日の子のご両親が
「これからみんなが宝さがしのトレーニングをします!」

子どもたちは公園の至るところに準備されているゲームをします。魚釣り、迷路、的当て、といろいろなゲームに子どもたちが奮闘します。




そして子どもたちに、「ゲームをクリアした勇者たち!宝ものを見つけに行こう!」とご両親が声を掛けます。


公園の木に付けられている風船には宝物へのヒントがあり、それを辿って、最後に子どもたちは金貨(のチョコレート)がたくさん入ったバスケットを見つけました。 

この家族が本当にすごいところ

青空の下、全部手作りの誕生日パーティー。誕生日だった主役の子も含めて子どもたちみんな楽しそうでした。どこかのパーティープランを使えば、そこですべてを用意してもらえるのですが、あえて全部手作りで用意したこのご両親、準備はかなり大変だったはずです。

この誕生日パーティーを開いたご家族は、母親がオランダを代表するような大企業の重役をされていて、父親が主夫として普段は子どもの面倒をみています。母オランダ人、父ドイツ人、それぞれが母国語で子どもと会話し、平日校は英語教育となるので、3か国語習得が教育方針です。そしてお子さんは3か国をほぼ同等レベルで使っているようです。これはすごいことですが、子どもの言語能力が素晴らしいということだけではありません。父親と母親両方がたくさん子どもに話しかけている結果であり、それだけ子どもとのかかわりを大切にできている証です。

家族のかかわりと子どもの言語

 父親と母親の母国語がそれぞれ違う上に、学校で使う言語も別で、住んでいる国の言葉もまた違う、というご家族にお会いすると、大抵、子どもは学校生活が長くなるほど学校の言語が強くなり、母親が子どもに母国語を使っていれば第2言語が母親の母国語となり、父親の母国語の習得は遅れていく、もしくは諦めるということが多いです。平日父親と接する時間が少なく、自然に子どもが父親の話す言語を習得するのは難しくなっていくようです。

このお母さんは世界各国への出張も多いそうですが、平日学校の送り迎えに来ることもありますし、学校行事には必ず姿を見せます。この誕生日パーティーも夫婦2人で準備したそうです。勤務先の企業文化がワークライフバランスに配慮しているということもあるでしょう。こんな素敵な誕生日パーティーを開く家族、うらやましかったです。私もマネしてみたいと思いました。


野口由美子


2015年10月8日木曜日

なぜ運動会でダンスをするの?

今私が住んでいるオランダで現地の方と雑談していた時に、日本のダンスについて聞かれました。

日本ではみんなどんなダンスをするのかしら


ちょうど秋の運動会シーズン。私が真っ先に思いついたのは運動会のダンスでした。私自身、バレエに憧れる少女時代もありましたが、積極的にダンスをしたことがありません。そんな私でさえも、運動会のダンスは毎年たくさん練習した記憶があります。運動会の競技種目では全く目立つことのない私もダンスはみんなと同じように出番がありました。


私は日本の踊りとして、日本舞踊や盆踊りを紹介した後、日本の運動会のダンスの話をしてみました。一番驚かれたのは、


子供たちがみんな同じ振り付けを練習して踊る


ということでした。ダンスは体の動きで自分の感情を表現するものじゃない?、と不思議そうでした。

運動会のダンスって何だろう

確かにダンスは表現のひとつですが、学校のダンスで自分の感情を表現しているという実感は、私には一度もありませんでした。もしかしたら学校の先生は、そこに感情表現を求めていたのかもしれませんが、いつも先生に言われていたことは「みんな同じようにもっと腕を上げて」「周りをよく見て等間隔で並びなさい」と自分を全体に合わせることでした。先生と同じ動きができるように、みんなの息が合うように、きれいに踊ることが目標だと思っていました。

運動会のダンスでは地道に繰り返し練習することの大切さ、とか、練習の成果を発表して(私のように競技で1位になれない子供でも)自信を持つ、とか、全員が協調し団結することを学んできたのではないかと思います。

みんな同じ、という価値観

運動会のダンスだけでなく、これは日本の学校教育にあるひとつの価値観だと思います。小学校に入ると、みんな一緒に授業を受けて、同じ勉強をします。

ヨーロッパでいろいろな学校の話を聞いていると、このスタイルは当たり前のものではないかもしれないと思うようになりました。クラスを理解度別グループに分けて授業を進めるとか、一斉授業は最小限にして個々で進める学習が中心とか、子供の個性に合わせる形をとることが多いようです。


日本でもいろいろなスタイルで授業を行う学校が以前より増えてきているかもしれませんが、大多数の子供たちは黒板を前に机を並べて、先生の授業をみんな一緒に聞いているのではないでしょうか。

日本のようにクラス全員が一律に同じ授業を受けていると、よくできる子はほかの子ができるまで待たなくてはならず、授業時間を無駄にしています。みんなより理解が遅れてしまった子は逆に待ってもらえず、授業についていけなくなることもあります。創造性や個性を伸ばせないという観点からも、日本の教育スタイルはいろいろ批判もされていると思います。確かに日本の教育スタイルももっと変わっていいのかもしれません。

日本の教育スタイルと生産性

私はマーガレット・へファーマン氏による組織の生産性についてのレクチャーを思い出していました。そこで彼女が紹介していた実験によると、生産性の高い組織に能力が突出して高い人物は不要で、その代わり以下の3つの要因が必要なのだそうです
  1. メンバーがお互いを認め合い、尊重していること
  2. 誰かが議論を独占したり、傍観したりせず、メンバーが協調していること
  3. 女性メンバーが多いこと
実際のレクチャーでは3点目の女性メンバーが多いというところで拍手が沸き起こっていましたが、その他の2点は日本の教育スタイルに合っているように思いました。運動会のダンスでは全員ができるように練習しますし、それには子供同士の協調が必要となります。

教育は生産性だけの問題ではありませんが、みんなが協力して大きな力が発揮できる、そんな日本の運動会はやはり大切な行事だと思います。自分が日本を離れて、ますます日本の良さを感じています。


野口由美子

2015年10月2日金曜日

母親は時間がなくて当たり前、ではない

「初めての赤ちゃんが生まれると、あなたの生活は完全に変わります。・・・赤ちゃんの世話はとても大変で、自分の時間が全く持てなくなってしまったかのように思えることもあるでしょう。・・・もちろん、だからといって自分が楽しんでいたことを全部あきらめなくてはならないわけではありません。」 
(引用: Growth Guide ages 0-4

生後3ヶ月までに赤ちゃんを人に預けなさい?

最初に紹介した文章はオランダの子供の成長に関するガイドブックに書かれている内容です。私が今住んでいるオランダでは4歳までの子供を持つ親にこのガイドブックが渡されます。健診の時には子供の成長を記録し、子供の成長についての説明や親のためのヒントも載っています。私のようにオランダ語のできない外国人のために、英語版も用意されています。日本の母子手帳のようなものといえます。赤ちゃんの誕生から生後3ヶ月までについて書かれた最初の章に、冒頭で紹介した内容が書かれていました。

行き詰まるママと余裕があるママ

私が実際に初めて赤ちゃんが生まれてからは毎日余裕がなく、自分の時間どころではありませんでした。1人目の子供が産まれた時は、すべてが初めてでよくわからないことの連続です。母乳をあげなくては、よく眠らせなくては、体をきれいにしなくては、とやらなくてはならないことがずっと続き、繰り返されます。そして赤ちゃんはよく泣きました。なぜ泣いているのかわからずおろおろすることも多く、私と赤ちゃん2人っきりの部屋で行き詰まっていたこともありました。

赤ちゃんの世話いくら大変でも、親(特に母親)はそれくらい我慢すべきで、赤ちゃん時代は短いのだから、つらくてもそれが後になればいい思い出になる、と当時の私は思っていました。私が特別というわけではなく、実際に自分がママなのだからがんばらなくてはならない、と自分に言い聞かせ、毎日睡眠不足で休む時間もない生活を送っている方もいると思います。

私は今住んでいるアムステルダム近郊で赤ちゃんを持つお母さんにもよく会いますが、当時の私より余裕がある雰囲気です。赤ちゃんも穏やかで、大泣きするところを想像できず、この赤ちゃんが泣き止まないことなんてあるのかしら、と思ってしまいます。もちろん実際には夜中に泣き止まなくて困ってしまったわ、という話をその方から聞くことになるのですが、その話ぶりからは、そういう日もあるわよね、くらいのおおらかな心持ちが感じられます。

助けてくれる人がいるから行き詰らない

毎日必死で新米ママをやっていた当時の私と、アムステルダムの新米ママの違いはどこにあるのだろう、と最初は不思議に思ったのですが、子供が生まれてからも自分の時間を少しでも持っていることが違うのではないか、という結論に至りました。先に紹介したオランダの母子手帳では、ほんの2、3時間でも自分の時間を持てれば、気力も体力も回復して前向きに育児に取り組める、と自分の時間を持つことの重要性を説いています。

オランダ在住日本人の友人からこんな話を聞きました。彼女は生後1ヶ月の赤ちゃんともうすぐ3歳になる上の子を義理の母に預けて、夫婦で映画を観に行ったそうです。彼女は子供を預けると、外出先で子供のことばかり心配になって楽しめないと思っていたので、今まで子供を預けたことがありませんでした。今回初めて子供を預けて外出することをオランダ人の義理の母に話したら、義理の母は、下の子が生まれてから初めて、という意味だと思ったそうです。まさか上の子が生まれてから3年近くも、子供を預けて夫婦で出かけたことがないとは信じられなかったのです。子供が心配で外出が楽しめないと思っていた彼女もその時のことを楽しそうに私に話していました。子育てに余裕があるというのはこういうことなのだろう、と感じました。

海外で暮らしてみると、毎週子供を預けて夫婦で夜レストランに出かけるというのもめずらしい話ではなく、そういう親のライフスタイルは日本から見ると勝手すぎるように思えるかもしれません。でも、逆にこちらから日本を見てみると、親はこうあるべき、という要求がストイックで厳しすぎるように感じます。親だって、子供のことだけでなく、時には自分が楽しんでもいいんじゃない?、なんて言えないような雰囲気がありませんか。

ひとりでない子育てを始めるには

赤ちゃんの面倒を代わってみてくれる人はいますか。赤ちゃんの世話を他人に頼むことをためらう必要はない、とオランダの母子手帳には書かれていましたが、実際には、自分の赤ちゃんの面倒を頼むのは簡単なことではないかもしれません。それでも、思い切って相談できそうな人が1人くらい、思い当たりませんか。

私だったら、やはり子供の父親である夫が頼みやすいです。私は1度だけですが、夫から自分の時間をプレゼントされたことがありました。子供が生まれて初めての私の誕生日、夫は私を日帰り温泉の前で降ろし、3か月の赤ちゃんとドライブに出かけていきました。車に乗せて赤ちゃんが眠っている間を狙って、私はひとりで温泉に入っていました。当時の私にとって、その時の温泉は何よりの贅沢な時間となりました。今、子供たちはパパが大好きですが、私のこのひとり温泉が父子の時間の始まりだったと思うと、母親が赤ちゃんを預けるということは、母親の私だけでなく家族にとっていい経験だったと思います。


野口由美子

参考:GroeiGids (オランダの育児ガイド)