2015年11月27日金曜日

サンタクロースの起源から子どものしつけを学ぶ

1年の終わりが近づいてくるこの時期、街はイルミネーションやクリスマスの飾りでとても賑やかになります。北ヨーロッパの冬は、寒いだけでなく、日照時間もかなり短くなるので、暗い日が続きます。厳しい冬を乗り越えるためにも、この時期を祝う明るさや温かさは大事にされています。

サンタクロースだけではないヨーロッパ

ヨーロッパでは、この時期のお祝いは1225日のクリスマスの日だけではありません。フランス、ドイツ、ベルギーなどの一部の国ではセント・ニコラス(言語によってサン・二コラ、ニコラウス等呼び方は変わります)を祝います。セント・ニコラスは実在のトルコのキリスト教司教で、貧しい人や子どもを救ったという伝承があり、聖人として崇敬されています。セント・ニコラスが子どもを救うために貧しい家に金貨を投げ込み、それが暖炉に下げられていた靴下に入っていたと伝えられていて、それがセント・ニコラスの日に子供がプレセントをもらう風習になり、さらにサンタクロースの伝承に発展したといわれています。

セント・ニコラスの祝い方は地域によって違いますが、私の住んでいるオランダが一番盛大にセント・ニコラスを祝うようです。オランダ語ではシンタクラースと呼びます。ちなみに、シンタクラースというオランダ語がアメリカにサンタクロースと伝わったのが、サンタクロースの語源といわれています。

オランダにシンタクラースがやってくる

シンタクラースは毎年1115日にスペイン(なぜスペインから来ることになっているかは不明だそうです)から船でオランダにやってきます。到着当日は1日がかりでパレードをします。午前中は船でアムステルダムの運河を回り、午後は街の中心地を夕方までかけてパレードします。

今年はパレードを家族で見に行きました。シンタクラースが現れると子どもたちの歓声が上がります。赤いマントに白いひげ、白い馬に乗っています。






シンタクラースにはズワルト(黒い)・ピートという従者がいます。アムステルダムのパレード時には500人くらいの黒塗りの顔のピートが子どもたちにお菓子を配って回ります(当然のことながら、この黒塗りの従者は人種差別問題としても議論されています)。

オランダらしく自転車に乗っているピートもいました。顔は真っ黒です。




オランダに到着したシンタクラースはオランダ中を回り、ショッピングセンター、学校、職場にも現れ、子どもたちにお菓子などを配ります。そして家庭では、セント・ニコラスの日の前夜である12月5日の夜、シンタクラースからのプレゼントがやってきます。そして、翌日、シンタクラースはオランダを去ります。この期間、あちこちにやってくるシンタクラースに子どもは忙しいくらいです。子どものために街中が活気づきます。

シンタクラースは怖い人でもある?

シンタクラースはプレゼントを大きな麻の袋に入れてくるのですが、その麻の袋に悪い子を入れてスペインに連れて帰る、という話を聞きました。そもそも聖人なのだから、セント・ニコラスにはそのような伝承はなかったはずです。連れていかれたくなかったらいい子にしていなさい、と大人が子どもをしつけるために、そのような話になったようです。

小学校の先生をしていたオランダ人の方にこのことを話してみると、大きく首を振って私に言いました。

「そんなの古い!30年、40年前の教育ね。子どもを怖がらせることでしつけようとするやり方は子どもに良い効果がないから、その言い伝えはもう子どもに言わないわよ。」

シンタクラースはかつてプレゼントをくれるやさしい人であると同時に悪い子をさらう怖い人でもありましたが、今はただやさしい人物とされているそうです。

子どもを怖がらせる大人

それを聞いて私はどきっとしました。自分は子どもを怖がらせたり、脅したりしてしつけようとしていることがあるのではないかと。
「早く寝ないとお化けが来るよ」
小さい子どもならお化けは十分怖いはずです。
「ちゃんとママに付いて来ないと置いていくわよ」
知らない場所に置いていくと言うのは子どもに対する脅しではないでしょうか。

私は子どもを怖がらせたり脅したりしてしつけようとすることをやめました。やめてみて、子どもを怖がらせるのは簡単だけれど、実は効果がないという結論に達しました。

確かに小さい子どもは親に脅されたら、怖くて泣きながら言うことを聞きます。しかし、それでは、なぜ早く寝るように言われるのか、親に付いて歩かなくてはならないのか、理解できないようです。私は何度も同じことで脅し続け、だんだん子どもも脅されることに慣れてしまって脅しも効かなくなってきました。寝なくても本当にお化けが来ることはないですし、知らない場所に永久に置いていかれることも現実にはないと、子どももどこかで気づいているのかもしれません。

恐怖心はもういらない

脅しよりも面倒なようですが、私は子どもと一緒に考えることをしました。夜遅くまで起きていたらどうなると思うか。私の考えも言います。次の日の朝起きられなくて、学校に遅刻してしまうと思うけど、どう?朝早く学校に行って友達に会えた方が楽しいとママは思うよ。

どうするのがいいか話し合って、本人が納得しなければ、好きなようにさせ、遅刻してしまう失敗をあえて経験させます。早く寝た方がいいということを自ら理解すると、もう寝る時間よ、という一言で、自分からベッドに行くようになりました。親は、本来、子どもの恐怖心を取り除いてあげたいと思うものです。子どもの恐怖心が家庭から減っていくと、親の気分も楽だと感じました。

シンタクラースは毎年オランダにやってきますが、今は怖い人ではなくなり、時代と共に変化していました。いろいろな考え方があり、唯一の正解があるわけでもありませんが、私は、しつけも変化していいと思います。


野口由美子

2015年11月20日金曜日

4歳からのコンピュータプログラミング入門

コード・ウィークというイベントをご存知でしょうか。20151010日から18日にかけて、世界的に開催されたイベントで、欧州委員会(European Commission)の通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局(DG Connect)のサポートによって、2013年から始まった取り組みです。関連したイベントが学校などで開催され、子どもを中心に15万人以上が参加します。
今私たちが住んでいる現代はテクノロジーが急速な進歩を遂げています。働き方、コミュニケーションの仕方、ショッピングの方法も、考え方も大きく変化しています。そんな大きな変化に向き合い、自分たちが生きている世界を理解するには、テクノロジーがどのように機能しているのかを知るだけでなく、それを使いこなせなくてはなりません。それが今の時代を生きていくのに必要な能力です。 コードを学べば、テクノロジーがどのように機能するか理解し、新しいアイディアを探求し、さらにそれらを実現させることができます。仕事としても、遊びの場でも。近くの人と、世界中の人と一緒に、私たちの自由な想像力のままに。 
(引用: CodeWeekEU2015 “Why Learn to Code?”)
このコード・ウィークの一環として、4歳の私の娘のクラスでコードを学ぶという話を聞いた時、私は少し驚きました。私自身がコンピュータに詳しくないどころか、むしろ苦手、ということもありましたが、まだ字もまともに読めない子どもが何をするのでしょう。

ロボットを作ろう

「ロボットは何からできているか知っている人は?」
授業はこんな先生の質問から始まりました。
「鉄!」「ブロック!」「ボタン!」「電気!」「マシーン!」
子どもたちは次々に思いついたことを発言します。
「ロボットは何ができると思う?」
「ロボットはマシーンだよね。マシーンは考えることができない。人間が何をするか命令するんだよ」

次に、子どもたちはロボットが校庭で何ができるか考えました。子どもたちのアイディアは、すべり台やおにごっこ。ロボットと一緒に遊んでみたいようです。

そして工作の時間が始まりました。自分たちでロボットを作ります。今日作るロボットは、段ボールのロボット。2人がかかりでロボットの顔を作ります。先生に目をくりぬいてもらい、思い思いに飾り付けをします。



顔が完成すると、早速子どもたちはかぶって遊んでいました。


ロボットを動かそう

完成したロボットをどうやって動かすことができるか、先生は質問します。そこで子どもたちは、ロボットがボタン(コード)で動かせるということに気づきます。コードを使ってロボットを動かすのです。そのことを理解した子どもたちは、自分たちの作ったロボットが校庭の落ち葉を拾うというプログラムのコードを書きます。

「どんなコードが必要だと思う?」
一斉に子どもたちの手が挙がります。
「進め!」「止まれ!」「拾え!」「早く進め!」
右足を前に出す、左足を前に出す、右を向く、左を向く、ジャンプする、しゃがむ、つかむ、という絵が描かれている紙が子どもたちに配られました。子どもたちはその絵のコードをひとつずつ切り取り、順番を考えながら紙に貼っていきます。コードが完成しました。

いよいよロボットが葉っぱを拾えるかテストします。ロボット役の子が段ボールのロボットを被ります。もう一人の子が自分の作ったコードの順番に
「右足を前、次は左足を前」と指示をしていきます。



うまくいかなかったらコードを直してもう一度試します。ロボット役の子がうまく葉っぱを拾えた時のうれしそうな顔。子どもたちはとても楽しんでいました。

現代の子どもには必須

時代が変われば教育も変わる、ということを見た思いがしました。この授業は4歳から8歳程度の子どもを対象に考案されたもので、どうやってコードを書くか、ということよりもコードの背景にある考え方(オートメーション、コマンド、デザイン、テスト)を工作やゲームを通じて理解することに焦点が当てられています。

イギリスの国が定める学校カリキュラムでは、5歳からアルゴリズムが授業に出てきます。コードだけではありません。7歳の息子はインターネットでの情報収集の方法や、ワードやパワーポイントなどのソフトウェアを使って自分の考えを表現することを授業で習っています。

パソコンやタブレット、スマートフォン。使わない日はないくらい生活に浸透していますが、大人自身もこれらとどう付き合ったらいいか手探りだと思います。我が家では子どもたちがタブレットでゲームをしたり、動画を観たりしたがります。どれが良くてどれが良くないかという線引きや使用時間のルールがなかなか定まらず、頻繁に子どもと話し合いです。いっそのこと全部禁止にしてしまおうかと思ったこともありましたが、むしろ触れた方がいいと考えるようになりました。

4歳でコード??と私は完全にひるんでいましたが、楽しみながら子どもたちは学んでいました。ただ受け身にゲームや動画を楽しむだけでなく、彼らにその仕組みや機能を知ってもらいたいと考える良いきっかけになりました。コード・ウィークのサイトには、子どもがコードを学べるサイトがたくさん紹介されていて、大人の私が見ても勉強になります。本当は毎日がコード・ウィークです。

野口由美子


2015年11月15日日曜日

チャリティはもっと身近に

朝の学校で

ついこの間のことですが、子どもたちの学校でノンユニフォームデーがありました。過去の記事でもノンユニフォームデーに触れました。それだけ頻繁にあります。チャリティイベントの一環なので、今回も子どもたちは学校で1ユーロを寄付しました。前回は難民支援でしたが、今回はBBC Children in Needというイギリスの障害のある子どもや若者の支援のために寄付が送られます。

下の子のクラスは好きなヒーローやプリンセスの衣装で学校に来ることができるということで、たくさんのスパイダーマン、「アナと雪の女王」のエルサにあふれていました。楽しいイベントです。


子どもたちがちゃんと寄付をしていました。


スターバックスで 


私はそのあと、学校近くのスターバックスで、日本人のお母さんたちと学校行事でお寿司を販売する屋台を出店する打ち合わせをしました。海外に住んでいる日本人お母さんの多くはやっていることだと思いますが、巻き寿司などを作って学校で販売します。現地の方にお寿司はとても人気があります。子どもにとっては自分の母親が作ったお寿司が自慢のようで、私は自分の子どもが喜ぶからやっているようなものですが、この屋台の収益金はすべて学校に寄付します。特に意識していませんでしたが、これもチャリティです。

スターバックスのテーブルにはこんな小さなカードが置かれていました。




アムステルダムのホームレスを支援するための寄付を呼び掛けるものでした。このStreetsmartという運動に参加しているレストランやカフェでは、会計に1ユーロの寄付を追加してよいか聞かれます。会計時に寄付を一緒に集めるというのはとても手軽です。

気が付けばこの日の朝はたくさんのチャリティに囲まれていました。チャリティ、ボランティア、慈善活動、寄付、何となく崇高な活動としてがんばらなくてはならないようなイメージがあったのですが、それは違うと思います。もっと気軽で、楽しみながらするもので、子どもだってできること、それをそのまま体験した朝でした。


野口由美子

2015年11月6日金曜日

難民問題、子供と私がヨーロッパにいて知ったこと

難民が押し寄せるヨーロッパ。日本にいたらヨーロッパはちょっと遠い世界、私もテレビや新聞の中でこのニュースを見るくらいだったと思います。

私は今オランダのアムステルダム近郊に住んでおり、
「 ニュースではよくドイツの難民受け入れ問題を取り上げているけど、オランダはどう?」
と日本の友人に聞かれました。

ヨーロッパに住んでいるといっても、私は一時的にいるだけの外国人に過ぎません。ヨーロッパ各国の国民とは生活も意識もだいぶ違います。そんな私にとって、ヨーロッパの難民問題はやはりニュースで見るもの、しかも、現地のテレビニュースや新聞を見ること自体少なく、遠い問題と感じていました。しかし、実は私の周りでも難民問題は至るところに存在していることに気づきました。 

近所に住んでいる難民

「以前、近所に難民の方が引っ越してきたことがあったの。うちの子と同世代の子供がいたけれど、その子は乗馬のレッスンを受けていたのよ。私びっくりしてしまったわ。難民として移り住んできた人はもっと貧しい生活しかできないと思っていたから。でも子供は乗馬を習うことだってできるの。なんて平等な国なのだろうと感心してしまった。」

オランダに長く住んでいる日本人の方からこのような話を聞きました。認定を受けた難民への生活保護はかなり充実しているそうです。生活保護というと最低限の保障というイメージがありましたが、最低限より手厚い保護になっているのです。

オランダは税金が高く、サラリーマンの所得税が大体50%、消費税はぜいたく品に対して21%、食料品等に対しては現在6%です。自動車取得税、ガソリン税も近隣諸国と比べて高く、オランダで多くの人が自動車より自転車に乗っている理由のひとつだと思います。一般のオランダ国民が高い税金を払い、倹約した生活を送っている一方で、難民等保護を受けている人がぜいたくな生活を送っている、というアンバランスに直面することもあるそうです。

身近な人も難民援助のボランティア 

「難民のソマリア人の母親にオランダ語を教えているのだけれど、彼女たちもオランダ語の発音が難しいようね。」

私が今レッスンを受けているオランダ語の先生は元小学校の先生です。現在は自分が勤めていた学校でオランダ語ができない親に対してオランダ語を教えるボランティアをしているそうです。難民の認定が得られると、オランダ語教育も受けることができます。こんな身近にいる人も難民を助けているのか、と難民問題が急に近くなりました。

子供が知る難民問題

「ママ、今日先生に渡した1ユーロはね、遠くから来て家も何もなくて困っている人に食べ物とかをあげるために使うんだって。その人たちは今まで住んでいた国には住めなくなってしまったんだって。すごく困っているから助けなくちゃいけないんだよ。」

 子供の学校では、難民救済のためのノンユニフォームデーがありました。ただ単に、生徒はいつもの制服ではなく、私服で学校に来るだけなのですが、制服を着ないことが許される代わりに、子供たちは1ユーロを持参します。そのお金を集めて、ユニセフに寄付します。4歳の娘は、どの服を着ていくか朝揉め続け、私は内心制服の方が楽でいいと思いながら、彼女に1ユーロを渡しました。4歳の子でも学校で寄付をしました。7歳の息子くらいになると、その1ユーロが何を意味したのか、学校の先生と話したことを彼なりに考えるようです。

助けるのは当たり前のこと

これだけ大規模の難民は、受け入れる社会にとっても負担が大きいので、とても難しい問題になっています。政治的、文化的にも複雑です。

しかし、ニュースで伝えられるような難しい問題である前に、日常生活の中で感じたことは、困っている人は助けるべきで、何ができるか行動し続けるのが当たり前、ということでした。ボランティアで言葉を教える、1ユーロを寄付する、どれも自然なこととしてなされていました。

そして、子供にとってもチャリティーが身近であること。これは私が一番取り入れていきたいと思いました。子供の学校では、ノンユニフォームデーの次に、難民にレインコートを寄付する運動が始まりました。そしてまた別のチャリティーイベントのお知らせもきています。当たり前のことを自然にできるのがチャリティーであることを子供と学びました。いろいろ難しいけれど、助けるのは当たり前、小さなことでも行動したいと思います。


口由美子


2015年11月4日水曜日

朝日新聞朝刊オピニオン面に記事が紹介されました

2015年11月3日火曜日の朝日新聞朝刊、オピニオン面(16面)に当ブログの記事が紹介されました。

「恰好だけでもイクメンを」というタイトルで朝日新聞デジタルでも配信されていますので、是非ご覧ください(記事を全文読むには無料登録が必要です)。

今回新聞で紹介されたのは「男性の育児休暇、イクメンって恰好だけ?」という記事でした。この記事は「母親は時間がなくて当たり前、ではない」というさらに以前投稿した記事に対してたくさんのコメントをいただき、それらに対する私なりの回答をひとつお伝えするつもりで書きました。

男性が育児休暇をほぼ全員(役員は取得していないので全員にはならないそうです)取得するというのは、私が所属する日本の会社の話ですので、男性の育児休暇は日本で定着してもおかしくないと思います。それですべてが解決するわけではありませんが、赤ちゃんをめぐる環境は今よりよくなると考えています。

多くのコメントはハフィントンポスト(当ブログの記事はハフィントンポストに掲載されているものもあります)のFacebookページからいただきました。ヨーロッパの端っこに住んでいながらも、いろいろな方からご意見をいただけるのはとても素晴らしいことです。たくさんのことに気づかされ、考えさせられました。ありがとうございます。

親のライフスタイル、子供の教育、私の好きな食べ物や絵本のこと。まだまだ取り上げてみたいことがたくさんあります。

どうぞこれからもよろしくお願いします。


野口由美子