2015年12月17日木曜日

お母さんの味を見つける インターナショナルな家庭の野菜嫌い克服法

インターナショナルな家庭の食事

子どものお友達で、お父さんはフランス語圏のスイス人、お母さんはアメリカ人とオランダ人のハーフ、今まで長くアメリカで暮らしてきて家庭内では皆英語を話す、というご家族がいます。家族全員日本人、家庭の言語は日本語、マインドも完全日本人、と単純でわかりやすい我が家とはだいぶ違う家庭環境だな、と親の私は思いましたが、子どもにはそんなことは関係ないようで、子ども同士は仲良く遊んでいます。

このご家族は、ニューヨークに住んでいたということもあると思うのですが、いろいろな国の料理をよく知っていて、日本食も大好きだそうです。意外にも食の好みが合い、巻き寿司の作り方をお母さんに教えてあげたら、とても喜んですぐに自分で作ってみてくれました。海外にいると日本の食文化は自慢できます。

そんなお母さんに野菜嫌いの子どもが喜ぶ食事を聞いてみました(子どもが野菜を食べたがらないというところはお互い似ていました)。

一番のおすすめは、タコスでした。

私にとって意外なメニュー。生野菜をたくさん入れますし、味付けが辛いイメージがあったので、私は子ども向けだと思ったことがありませんでした。生野菜が嫌いなうちの子でも食べるかしら。私も早速試してみました。

野菜嫌いの子どもと食べるタコス

用意したのは、
トルティーヤ(我が家はソフトタイプのコーントルティーヤを使います)
チーズ(細切りのシュレッドチーズなど)
トマト(角切り)
レタス(千切り)

肉類の具材は牛ひき肉を使い、オリーブオイル、ニンニク、玉ねぎのみじん切り、
トマトペースト、ケチャップで味を調節しながら、パプリカパウダー(オランダではよくあるので試しに入れてみましたが、なくて大丈夫です)、塩コショウでいためました。ひき肉だけではなく、鶏肉のグリルも合うそうです。

アボカドはつぶしてヨーグルト、塩コショウ、子どもに嫌がられない程度にニンニクをすりおろして混ぜます。

サルサソースは辛いタイプのものを用意して大人だけが使います。

フライパンでトルティーヤを温め、チーズをのせて少し溶かしてからお皿にとって、具材をのせるところから子どもと一緒に作ります。

「えー、トマトそんなに入れないで」
「試してみてよ、ほら、これだけは食べられると思うよ。食べてみて」




「おいしい」

我が家のトマト嫌いも喜んで食べていました。肉も野菜も主食も一度に食べられて、用意も後片付けも簡単。あらかじめ具材を作っておくこともできます。タコスというとランチや軽食のイメージがありましたが、具材が多いとボリュームがあり、豆を入れると、さらに満足感があります。我が家では忙しい日の夕食メニューのひとつになりました。子どもたちの予定が立て込んで夕方帰宅してから食事を作る時間がない、でもカレーや丼物ばかり作っているような気がする、という時に登場します。

どこでもお母さんは子どもの食生活を考えていろいろ工夫しているものですね。



野口由美子

2015年12月11日金曜日

サンタクロースはいないと言った先生の話

クリスマスにプレゼントを持って来るサンタクロース。子どもたちはプレゼントを楽しみにしていますが、サンタクロースを怖がる子もいませんか。私の下の子も、サンタクロースが怖かったことがあり、テレビのアニメでサンタクロースが出てくるだけで部屋から逃げ出し、幼稚園にサンタクロースが来た時は泣いていました。そんな思い出を元学校の先生と話していた時、こんな面白いエピソードを聞きました。

サンタクロースが怖い子

サンタクロースが怖いという4歳の子のお母さんに相談されたことがあるそうです。その先生は、
「サンタクロースは本物ではない。あれは普通の人がサンタクロースの役をやっているだけで、本当のサンタクロースはいないと子どもに言ってごらんなさい」
とその母親にアドバイスしたそうです。まだ小さな子どもにそんなことを言う勇気はなく、そのお母さんは子どもに言えませんでした。

学校のクリスマス会でサンタクロースがやってくる時、先生は自らその子に、サンタクロースは偽物でサンタクロースはいない、と言ったそうです。するとその子は安心したのか、泣くこともなくサンタクロースからプレゼントを受け取りました。そして、お母さんに言ったそうです。
「サンタクロースからプレゼントをもらったよ!」

サンタクロースを信じていない子

5, 6歳くらいになってくると、サンタクロースの存在が危うくなってきます。本当はサンタクロースなんかいない、大人がプレゼントを用意しているんだと言い出す子が出てきますが、一方では、まだ信じている子もいます。親としてはちょっと寂しくなりますが、その先生はこんなことをしたそうです。

サンタクロースはいないという子だけにひそひそ話で
「あなたの言うようにサンタクロースは本当にはいないわ。先生も知っているわよ。でもそれはあなたと先生だけの秘密にしましょう。まだ誰にも言わないで。」
と言ったそうです。子どもは秘密という言葉にワクワクしたようで、喜んで先生と約束しました。
 
サンタクロースが学校のイベントにやってきました。子どもたちにプレゼントを渡して帰っていった後、その秘密の約束をした子は、
「サンタクロースが学校に来たね!やっぱりサンタクロースはいるよ」
とうれしそうに先生に言ったそうです。

サンタクロースが育む想像力

「進んでいる」教師だったと自称するこの先生のスタイルにとても魅力を感じました。サンタクロースは、子どもの想像力や創造性を育む一つの機会と捉えていたそうです。他者の気持ちを考えたり、先のことを予想したり、新しいアイディアを生み出したり、想像力が大切なことはわかっているつもりでしたが、それを育てるのは難しくなったと私は思っていました。しかし、子どもの想像力は私が思っていた以上に豊かなものでした。

サンタクロースはいないけれど、いるのです。


野口由美子

2015年12月7日月曜日

オランダで表情豊かなミッフィーちゃんに出会う

アムステルダム国立美術館のミッフィーちゃん

今年2015年はミッフィー誕生60周年。日本でも記念イベントがたくさんありましたが、本家オランダ、アムステルダムの国立美術館ではDick Bruna. Artistという特別展が開催されました。私もミッフィーちゃんが大好きです。

国立美術館はレンブラントやフェルメールの名画を収蔵し、世界的にも有名な美術館です。その美術館での特別展は、ディック・ブルーナ氏のアーティストとしての側面に焦点を当てたもので、改めて私はミッフィーちゃんをじっくり観ることができました。とても明るく明確な色使いに平面的で単純化された造形。ミッフィーちゃんは動きが少なく、無表情。色も形もシンプルなのに、かわいいです。

しかし、展覧会の解説をみると、ミッフィーちゃんの表情が描き分けられているという説明がありました。もし、うさこちゃんの絵本が手元にあったら是非見比べてください。実は絵本のうさこちゃんはどれも同じではないのです。

わくわくするうさこちゃんと満ち足りたうさこちゃん

たとえば、「うさこちゃんびじゅつかんへいく」。展覧会のカタログの解説に沿ってみてみます。うさこちゃん家族が美術館へ出かけていくページと、美術館から帰るページの挿絵を比べます。おとうさんとおかあさん、うさこちゃんが並んで歩いている様子は行く方向と帰る方向で向きが違いますが、それ以外は同じ構成の絵になっています。

うさこちゃんの顔、目を比べます。

美術館へ行くうさこちゃんの目は大きく、美術館から帰るうさこちゃんの目は少し小さく描かれています。手描きだから多少違いがあるということではありません。大きい目は、これから美術館へ行くわくわくした気持ちを表しています。興奮や好奇心によって目が長く丸くなるというのは、人間や動物の感情表現に従ったものだそうです。そして美術館で楽しんだ後のうさこちゃんは目が小さくなっています。これは満足感の表れなのだそうです。解説では、ダーウィンの「人及び動物の表情について」を参照し、うさこちゃんの表情は、人間や動物の普遍的な表情であると指摘していました。

絵本ナビのためしよみで、美術館に行くうさこちゃんの挿絵を見ることができます。
うさこちゃんびじゅつかんへいくうさこちゃんびじゅつかんへいく
作・絵:ディック・ブルーナ / 訳:まつおか きょうこ出版社:福音館書店絵本ナビ

シンプルな絵の中で、うさこちゃんの気持ちはちゃんと表現されていたのです。ミッフィーが世界で愛されるようになったのは、単純な色や形の中に普遍的な感情を、世界中の人々、子どもにも伝わるように表現されているからだと解説されていました。

絵本をもっと楽しむ

うさこちゃんの絵本を子どもと読む時、うさこちゃんの表情や気持ちを子どもに聞いてみると、意外といろいろな答えが返ってきます。もちろん、絵本のお話があるので、絵そのものというよりお話の内容からうさこちゃんの気持ちを想像しているかもしれません。つい絵本を読んであげる大人はお話を呼んで聞かせることに集中してしまいますが、絵を見て感じたことを話してみるのも、絵本の楽しみの一部だと思います。うさこちゃんは絵本の楽しみを広げてくれます。

 余談ですが、
ミッフィーちゃん、うさこちゃん、2つの名前が日本では使われています。ミッフィーちゃんというのは英語版の翻訳でつけられたMiffyからきていて、うさこちゃんは日本語版の絵本を最初に作る時につけられた名前だそうです。もともとのオランダ語ではナインチェ(Nijntje)という名前で、ウサギという意味のコーナイン(Konijn)を縮めた幼児語に、小さいという意味のtjeがついています。ミッフィーちゃんは親しみやすい名前ですし、うさこちゃんはオランダ語に忠実な訳になっていてとてもいい名前です。どちらの名前も好きなのでこの記事では両方使いました。

参考: Rijks Museum ”Dick Bruna. Artist” 


野口由美子