2016年12月21日水曜日

「貧困家庭で育った僕自身知りたかった」学生たちが語り合った、子どもの貧困とは?

2016年12月3日東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで「あすのば子ども委員会」が開かれました。子ども委員会は、2015年に、子どもの貧困対策センターあすのばの組織として発足し、大学生を中心とした学生たちによって運営されています。

今回の子ども委員会では貧困家庭の高校生、大学生を中心に約40名が参加しました。学生たちが集まり、どのようなことが話し合われたのでしょうか。委員会の企画・運営に関わってきたあすのば学生理事・佐藤寛太さん(名城大学4年)に聞きました。



あすのば子ども委員会のようす
(出典: あすのばFacebookページ

見過ごされてきた思いを知りたい

「子ども委員会では、社会への問題提起とか、具体的な解決策とか、そういう成果のようなものを出そうとはしませんでした。感じたことや考えていることを自由に吐き出してほしかったのです。小さな困りごとや、もやもやした思いのかけらを集めることが、今の僕たちができることなのではないか。そこから僕らが考え、行動につなげていく、そういう流れを作っていきたいと考えました。」

「話し合いは6名ほどのグループごとに行われました。各グループが好きなキーワードを選んで自由に話し合ってもらいます。」

「僕たちが用意したキーワードは、
「奨学金、進学、地方と都市、学園生活、働くとは、困りごととは、ファッション、アルバイト、部活、流行、SNS、恋愛」
でした。あえて「貧困」という言葉をキーワードから外したのは、貧困という言葉で自分たちを一括りにしたくないと考えたからです。貧困という括りを取り払ったことで、本当にいろいろな話ができましたし、多くの引っ掛かりを僕たちに残したと思います。」


働くことは、家庭をあきらめること?

「話し合いでは、子育てしながら働くことを受け入れてくれる職場がまだ少なく、特にひとり親の働く環境は厳しいと話す子がいました。都市よりも地方に住んでいる子が強く感じているようです。」

「貧困世帯の低い賃金で働いている親は、労働時間も長くなるので、子どもとコミュニケーションを取る時間が圧倒的に少なくなります。親は学校からの手紙に目を通そうと思っていても、見落としてしまうことがあります。仕事が忙しくて時間がないのです。それで、小学生くらいであれば、学校で必要なものを親に用意してもらえないまま、学校に行くことになりますし、中学生や高校生になると進路の相談も親にできません。それは子どもにとっては、つらいことです。」

「僕自身の場合、母親が一人で家計を支えていましたが、母は非正規雇用の低い賃金で働くしかありませんでした。僕たち子どもの世話だけでなく、祖父の日常生活の世話も母がしていたので、正社員となってフルタイムで働くことができなかったのです。正社員になって収入を増やすことと僕たちや祖父のための家庭生活は両立できませんでした。」

「学校から帰ってきた子どもが親と話したり、夕食を共にできたりするような働き方ができて、世帯の年収が400万円あればいいのに、と具体的な金額を挙げる子もいました。その場にいた子たちはこれに満たない家庭がほとんどだったので、夢というか理想を話している気持ちだったと思います。」

大学に行けないのは家が貧しいから?努力が足りないから? 

「家庭の経済環境で進路の幅が狭められていると感じている子は多いと、今回の話し合いで実感しました。」

「経済的に苦しいのであれば進学に目を向けずに働けばいい、と言われることもあります。最初から働くしか道はない、と言われてしまうと、進学するために勉強して努力しようという気持ちも起きない、あきらめてしまう、と正直な気持ちを話す子もいました。」

「確かに今も、貸与型の奨学金制度はありますし、独自の奨学金制度を設けている大学もあります。しかし、それでも「どうせ自分なんて」と進学をあきらめるしかないと高校生に思わせてしまう状況があるのではないかと思います。実際、奨学金の返済を考えると躊躇してしまうこともあるだろうし、国立大学であっても学費は高いです。」

「一方で、友達が大学に行くから自分も進学したいと安易に思ってしまっているかもしれない、と自分を戒めるような意見もありました。進路の選択は誰にとっても迷うものだと思いますが、家庭の状況が制約とならずに自分で進路が選択できるようになってほしいです。」


社会とは「厳しい」ものなのか?

子ども委員会で語り合われた話からは、食べるものや着るものが全くないわけではないけれど、生活のいろいろな局面で、自分はあきらめるしかないと言い聞かせる子どもの姿が浮かびあがってきます。「仕事と家庭の両立」に困難を感じたり、「自分らしい進路の選択」に悩んだり。貧困であるかに関わらず、多くの人にも通じる悩みであるように思いました。それは家庭の経済状況が苦しい彼らに、より切実に「あきらめるしかない」問題として降りかかっています。

「そんなことお金がないなら我慢すればいい、何とかしたいならもっと自分で努力すればいい。社会ってそういうものだと言ってしまえばそれまでなのですが。」
自分を含めた多くの参加者がそういう「もやもやした思い」を抱えていた、と佐藤さんは最後に話していました。

社会とはそういう厳しいものだと彼らに言うべきなのでしょうか。

誰にとっても、もっと生きやすい明日がある、という思いで「あすのば子ども委員会」は、これからも活動していきます。


子ども委員会は現在、全国で街頭募金の呼びかけを行っています
(出典: あすのばウェブサイト


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子どもの貧困対策センター公益財団法人あすのば
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野口由美子

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