2017年4月19日水曜日

海外子どもの遊び事情(屋外編)

日本でも海外でも、子どもが何より楽しいのは、友達と遊ぶ時間。

私の子どもたちが通っている学校は、アムステルダムにあるブリティッシュスクールで、オランダ人の子は少数派、イギリス人も少なく、いろいろな国の子がいます。私の子どもたちの友達はヨーロッパ各国から来た子か、インド人の子が中心。時々日本人の子同士でも遊んでいます。子どもたちのバックグランドがいろいろ違うと、どんなことをして遊ぶのだろう、と興味津々の私は、よく子どもたちに聞きます。

「今日は楽しかった? 何して遊んだの?」

息子たち、小学生男子はこんなことをしてよく遊んでいます。今回は外遊びについて。

おにごっこ

本当に小さいうちから、子どもは追いかけっこが好きですよね。小学生になっても、元気のいい男の子たちはとにかく走り回っています。

子どもたちの流儀は、
「タグ!」
と言って、相手にタッチしたら、おにごっこがはじまる合図。タッチされた子は相手を追いかけなくてはなりません。「一緒に遊ぼう」とうまく話しかけられなくても、何も道具がなくても、どこでも誰でも始められる、最高の遊びかもしれません。

大きくなると、子どもが自分でルールを作ることもできます。9歳の息子くらいの年齢になると、男の子と女の子が一緒に遊ぶことは少なくなってきますが、男の子たちがおにごっこをしているところに、女の子が何人か入ってくる、ということもあるそうです。

みんなが一緒に楽しめるように、
「タッチされた子はみんなおにになって、おにが増えていく。男の子は女の子を、女の子は男の子をつかまえなくてはならない。」
というルールをみんなで決めた、と息子が話してくれました。男の子は男の子ばかりを追いかけるし、女の子がおにになると、誰も捕まえられなくなることが多いから、というのが彼の説明でした。なるほど。

サッカー

どこの公園にもサッカーボールを持った子が来ていて、いつの間にか、知らない子同士でもサッカーが始まります。サッカーは、どこに行っても人気のあるスポーツです。日本の少年野球のような感じで、地域のサッカーチームに入って練習している子もたくさんいます。

私は、日本に住んでいた時、近所の公園で球技が禁止されていたことを思い出しました。東京、ロンドン、アムステルダムを比べたら、東京が一番、子どもがサッカーをやる場所が少ないように感じます。日本は安全な分、制限も多い、ということかもしれません。


近所の小さな公園なのですが、サッカーをする場所があります。

学校の休み時間、男の子はおにごっこかサッカーに分かれて遊んでいるそうで、日本の小学校も似たような光景なのかな、と想像するのですが、どうでしょうか。

男子は外で遊ぶのが一番! とはいえ、暗い、寒い、天気が悪い冬の季節も長いので家の中での遊びも重要です。次回、屋内編を紹介したいと思います。


野口由美子

2017年4月13日木曜日

日本の小学生、ここがうらやましい!

日本の小学生の子どもたちって恵まれているな、と海外で生活して初めて気が付くことがあります。

「日本では、小学校1年生から子どもだけで学校へ行くから、集団登校もあるけれど、親は送り迎えをしないもの。」
日本人以外の人に話すといつもびっくりされます。東京でも大丈夫、なんて言ったら、都市でもそんなに安全なの!? と信じられないようです。


学校の送り迎えは親がするもの

法律で親の義務となっているかどうかは、ヨーロッパでも国によって違うようですが、大人が小学生の送り迎えをするのは当然、と考えられています。私も毎日学校の送り迎えをしています。

働いている親はどうするの、と思われる方もいるかもしれません。学校で行われている朝夕の学童クラブのようなものを利用したり、自分の親に助けてもらったり、シッターを雇ったり、スクールバスやその他の送迎代行のようなサービスを使ったり、いろいろな方法でやりくりしています。


小学生でも自由に遊べない

こういう環境で、私が一番残念に感じていることは、子ども同士で遊ぶ約束をしたり、子どもだけで友達の家や近所の公園へ遊びに行ったりすることができない、ということです。

子どもに「友達と遊びたい」と言われたら、まず、親である私がその友達の親と、コンタクトを取らなくてはならいません。

「うちの子があなたの子どもと遊びたいそうなので、放課後うちに遊びに来ませんか。私が子どもたちを学校から連れて帰ります。」

いつが都合いいのか。誰が普段送り迎えをしているのか。家の場所はどこか。うちまで迎えに来られるか。初めてうちに来る友達だったら、ちゃんと事前に話をしておかないといけません。

お互いの家を時々行き来できる感じになってきたら、確認しておきたいことが追加で出てきます。

普段家の夕食の時間、就寝時間は何時か。 食物アレルギーなどで食べられない物があるか。

小学校1年生から午後3時頃まで学校で授業がある上に、就寝時間の早い子が多いという事情もあって、うちで一緒の夕食を食べていってもらったり、子どもたちの希望があれば泊まっていってもらったり、ということが頻繁になっていきます。子どもの行動範囲が限られている以上、親が動かない限りどうにもなりません。

親の負担もかなりのもの

延々と親同士でメッセージのやり取りをして、スケジュールを調整したり、送り迎えしたりしていると、あっという間に時間が経ってしまいます。

親にしてみたら、正直なところ、かなりの負担ですが、それをこなしたとしても、子どもにとっては、友達と遊びたい時に自由に遊べない、という不満が残ってしまう、と感じています。

私の場合、子ども2人分のスケジュールで動かなくてはならず、うまく遊ぶ約束ができないこともあります。子どもの習い事はやっぱりここでも盛んなので、子どもが遊べる日は限られています。誰が何曜日遊べるのか事前に情報収集して、子どもから遊びたい相手を複数聞き出し、Yesの返事を早くもらえそうな人から手際よく声を掛けて、予定を埋めていかないと、せっかく放課後遊ぼうと思っても遊ぶ相手がいないのです。近所の公園に行けば、約束していなくても友達が何人かいる、という光景もあまりありません。子どもはすごくがっかりします。


子どもにとって安全な環境、他にはない良いところ

確かに日本でも子どもが犠牲となる事件が起きていて、かつてほど安全ではないと言われていますが、日常的に、学校の送り迎えが親の義務となったり、子どもだけでの留守番や外歩きが禁止されたり、ということはまだありません。日本のような安全な国は奇跡的だと思います。

日本はうらやましい、と思いながら、私は今日も携帯電話で親同士のメッセージを乱発しています。他のお母さんに「いつも子どもを友達と遊ばせていて、あなた偉いわよ!」とほめられるくらいなので、どこの親にとっても日本の環境はうらやましいものではないかと思います。


野口由美子

2017年4月6日木曜日

4月から新生活。育休後の不安、誰にでも


初めての育児休暇明け。1年休業した後の職場復帰、もうすぐ1歳になる子どもの保育園。4月になると、私も毎年自分の育休明けの時のことを思い出します。

子どもが保育園など家の外で「社会」生活をスタートさせる時、というは、親にとって忘れられない思い出です。

子ども自身にしてみたら、まだ1歳くらいの時のことなんて、まるで覚えていませんが、長い時間を過ごした保育園で身に付けたことは大きかった、とつくづく思います。

親である私自身にとっても、あの時スタートがあったから、今の自分がある、と思います。私のスタートはあまり立派なものではありませんでしたが。

育休後の職場復帰の体験を記事に書かせていただきました。ご覧いただけるとうれしいです。

ママのための子育て情報WEBマガジン「ママスタセレクト」
【体験談】やっぱり不安? 育休後、職場復帰はどうだった?

私自身、不安だらけで4月を迎え、初出社日も結局子どもが病気で行けませんでした。昔と同じように自分の思うようには何もできない、職場にも迷惑をかけて、不安は的中! というスタートだったかもしれません。

でも、自分ができないことに目を向けるのではなく、育児休暇中にはなかった仕事での刺激や達成感があったり、仕事が終わってから子どもと過ごす時間が本当に楽しみだったり、今思い返せば、本当はいいことだらけだったなのでは、と思います。

やっぱり不安、両立なんてできそうもない、辞めた方がいいかも。そう思う時は誰でもありますが、子どもは親がいない所でも多くの愛情を受けて大きくなっていきますし、仕事も自分がいなくても何とかなってしまうことが多いものです(無責任に聞こえるかもしれませんが、親業に比べれば)。

子どもの人生も親である自分の人生もまだまだ先は長い、新生活のスタートが実り多いものであってほしいと、4月はいつも祈るような気持ちになります。


野口由美子

2017年3月30日木曜日

お金って何? 子どものお小遣い、我が家の場合

最近、息子は家族の洗濯物をたたむのが日課です。洗濯物を干すこともやりたがります。

「お手伝いを積極的にやるなんて、えらいわね。」
なんて褒めてくださる方もいるかもしれませんが、今我が家ではお手伝いをやった分だけお小遣いをあげているから、という事情を聞いたら、

「お手伝いでお金をあげるなんて。お手伝いはお金のためではなくて、家族のためにするものだと思うけれど。」
ちょっと否定的な感想を持たれるかもしれません。

家族への愛情、という旗印のもと、
家事=タダでやるもの
という考え方は根強いのかもしれません。

どちらかというと否定的に思われる印象がある「お手伝いしたら、お小遣い」制度ですが、我が家ではあえて導入。2年以上経ちました。この制度はお金の教育として機能していると私自身考えるようになりました。お金の機能を丸ごと理解できると思います。


お金の機能1: お金は価値を測るもの

今、息子は1日分の洗濯物をたたむと1ポイントつきます。10ポイント貯まると1ユーロ渡しています。日本の物価に合わせて考えると、お手伝い1回10円程度です。彼にとって100円って結構大切、ということになります。彼なりに、金額が高い、安いを考えるようになり、むやみに物をねだらなくなりました。


お金の機能2: お金は交換の手段

お金を何に使うか、ということを子どもなりに考えるようになりました。最初は手元のコインが増えていくのが楽しかったようで貯めることに熱心でした。でも、ただお金を持っているだけでは意味がないのでは、と本人も気が付きました。
「無駄遣いしたらもったいないでしょ。」
なんて親がわざわざ口出しすることもなく、もし息子が無駄遣いしたら、
「こんなの買わなければよかった。」
という後悔も体験すればいいのでは、と思っていました。結局、息子は日本に一時帰国した時、ポケモンセンターへ行って、自分のお小遣いで好きに買い物して持っていたお金を使い切っていました。うれしそうな顔でした。自分のお小遣いでなかったら、あれも欲しい、これも欲しい、となっていたかもしれません。満足できる買い物、というのはいいのではないかな、と思いました。


お金の機能3: お金は保存できる

今息子は、ポケモンセンターでの買い物も興味がなくなり、ゲーム機のソフトがほしくて、お金をせっせと貯めています。ゲーム機自体もまだ家にないので、ゲーム機を誕生日プレゼントにもらえるように親(私)を説得する作業もまだ残っているのですが、お金を貯めて、自分でソフトを買う! という目標に向かって、意欲的です。


息子のおてつだいポイント表(地道に努力してます)


より良い仕事ができるように

お金の機能とは、なんて経済学の教科書みたいですが、労働の対価としてのお金について、私も考えさせられました。

ある時、息子が全くお手伝いをやらなくなりました。どうも労働意欲がわかないようです。欲しい物がない? そんなことないだろうと思い、私は賃金(お小遣い)水準を見直すことにしました。私のアイディアはボーナス制度でした。
お手伝い1回 1ポイント
はそのままで、
5日間連続でお手伝いすると、ボーナスポイント 5ポイント
を追加しました。

仕事が手早くなって、洗濯物をたたむだけでなく、洗った洗濯物を干すことも手伝えるようになり、両方やれば1日2ポイント。月曜から金曜まで毎日やれば、ボーナスポイントも合わせて1週間15ポイント。1ヶ月で6ユーロお小遣いがもらえます。半年続ければ36ユーロ。半年お手伝いをがんばればゲームのソフトが買える、という計算をした息子は「これならがんばれる」と思ったのか、またお手伝いをやるようになりました。

洗濯物はきれいにたためていないとポイントが認められません。たたんだ洗濯物を人別に重ねてまとめる、タオルが同じ大きさになるようにたたむ、より上手にやろう、もっとできることを増やしたい、と工夫がみられるようになってきました。適切な対価が払われるからこそ労働意欲が高まる、というのは子どもにとっても同じようです。


お金って何だろう? 

とはいえ、いろいろな考え方があるものです。
「お金くれないなら、お手伝いしない。」
なんて子どもが言い出すに決まっている! ということで、お手伝いをするしないとは関係なしに、毎月とか毎週とか、決まった額のお小遣いを渡しているご家庭もありますし、必要な物がある時にその都度相談してお金を渡すという方もいました。

オランダ人の子が、近所の家を回って
「何か家の仕事をさせてください。1回50セントでやります!」
なんていうお小遣いの稼ぎ方もあるそうです。

お金の教育で一番大切なのは、「身の丈に合ったお金の使い方」を知ることだと思います。自分の「稼ぎ」に見合わない浪費をするようでは困りますし、逆にお金を全然使わないで貯蓄しているだけというのも意味がありません。お金を欲しがるばかりでも幸せになれるわけではありません。自分が持っているお金で「足りる」ということを知るのが重要なのではないかと思います。

我が家の制度も子どもの成長に合わせて変えていかなくてはならないだろうし、まだまだ考える余地がありそうです。お小遣い、大切にしたいですね。


野口由美子

2017年3月23日木曜日

気になるけど、仕方がない? 子どもの睡眠時間

ある日、8歳の息子から唐突に
「ママ、ぼく夜は7時に寝てみたい。」
と言われ、ちょっとびっくりしたことがあります。

普段、子どもたちの就寝時間は大体8時半くらい。私は、こんなものか、と思っていたのですが、息子のクラスの子たちと比べるとだいぶ遅い方だったそうです。夜7時くらいに寝る子が多いらしく、自分も他の子たちと同じようにやってみたくなった、ということでした。

息子のクラスメートの多くはヨーロッパ各国の子。日本人の子どもは夜寝るのが遅いという話は聞いたことがありましたが、本当だなぁ、と実感しました。

その時のことを書いた記事を掲載していただきました。ご覧いただけるとうれしいです。

ママのための子育て情報WEBマガジン「ママスタセレクト」
何時に寝てる? 新生活が始まる前に見直したい、子どもの睡眠

この記事には多くの反響をいただきました。今の生活では就寝時間を早めることは無理、という率直な意見が多かった印象です。

特に目立ったのが、お子さんが保育園に通っている共働きのケース。私自身が日本で子どもを保育園に預けて働いていた時、時短勤務で5時くらいにお迎え、6時に夕食、8時に就寝、というような生活でした。

でも、保育園なら日中のお昼寝がありますし、先生と相談して、お昼寝時間と夜の睡眠時間を調整することで、十分な睡眠時間を確保できると思います。なので、全く心配はいらないはずですが、本当はもっと早く寝かせてあげたい、と思っている方が多いのかもしれません。

それとは別に、そんなに子どもを早く寝かせる必要があるのか、という疑問を投げかける方もいらっしゃいました。5時台に子どもが夕食を食べているような家庭では、親の夕食は子どもが寝た後に、というパターンもあるようです。確かに、もうちょっと時間が遅くなってしまっても、家族そろって食事をした方がいいのではないかな、と私も思います。

いただいたコメント全体を通して強く感じたのは、

大人も子どもも忙しい!!

ということです。休むことを軽視しているわけではないのだけれど、やっぱり後回しになってしまうのかもしれないと思いました。子どもの就寝時間が遅いと、大人の就寝時間はそれ以上に遅くなります。

私自身、休養を十分に取れないと、日常生活が送れなくなるくらい、体調を崩す、ということを経験しているので、休養を重視できるようになったのですが、そんな経験をしなくてもわかることだと思います。なかなか難しいことかもしれませんが、休むこと、睡眠時間を確保することにもう少し積極的になってみてもいいのでは、と思います。


野口由美子






2017年3月16日木曜日

出生率の高い国と低い国。子育て支援策以上に違うこと

先進国ではどこの国でも少子化が進んでいる中、フランスは徹底した家族支援策に乗り出し、出生率が2.01(2014年 世界銀行)まで回復したモデル国。出生率1.45(2015年 厚生労働省 国立社会保障・人口問題研究所)の日本ではそのように紹介されているようです。

日本とフランスの子育て支援策の違いを挙げてもきりがありませんし、所詮日本と違う文化を持つ遠い国の話。学べることもあるだろうけれど、日本がそのままマネできるようなものではありません。そういう気持ちなのですが、ある日、フランス人の友人から言われた日本の会社の話には返す言葉がありませんでした。

「日本で子育てと仕事の両立って基本無理じゃないかと思う。お父さん帰ってこないし。会社に長くいないといけないでしょ? 無理な仕組みになっていると思うんだけれど。」

この方の旦那様は日系企業に勤める日本人男性、かわいい子どもが2人。日本に住んでいた経験もあり、日本の会社をよく知っているので、ごまかしはききません。続けて、日本にいた時疑問に思っていたことを私に言いました。

「なぜ、仕事と子育ての両立が女性だけのハードルになっているの? 男性だって同じはずなのに。フランスだったら、子どもの世話も何だって、女性も男性もやるものだって思う。」

日本はまだまだです、と認めるしかありませんでした。覚悟が違うんだよな、と。

覚悟、というと、女性は男性並みに仕事をし、男性は女性並みに子どもの世話や家事を万能にこなせなくてはならないような、レベルの高いものを想像してしまいますが、そういうことではないのだと思います。フランス人はそんなに働かないですよね。男性も、女性並みに仕事をし(残業なんてもってのほか、長期休暇も当たり前)、女性も、男性並みに家事をする(とにかく時間をかけない)ということなのではないかと思います。

たとえば、家事のこと。私が実際に見てきた範囲でのことですが、美食のフランス人も、美食でもないイギリス人やオランダ人も、ヨーロッパのお母さんは普段の食事に手間をかけていないです。オーブンに入れるだけ、パスタをゆでるだけ、ジャガイモをつぶすだけ。とにかく質素。日本食に置き換えたら、カレーや丼物、一汁一菜の方が立派かも、と思えるような簡単な献立です。

これくらい大胆に開き直ってしまえばいいのか。それとも、やっぱり食事はちゃんと作らなくちゃ、なのか。子育て支援策以上に大きな違いに思います。

日本人お母さんの苦労はまだまだ続きそうな気がします。


参考: (私が書いた記事です。こちらもご覧いただけたらうれしいです。)
ママのための子育て情報WEBマガジン「ママスタセレクト」
保育園入れた? 仕事と子育ての両立って大変? ママの悩みが尽きないのはなぜ


野口由美子

2017年3月10日金曜日

恩返しではなく「恩送り」を。子どもの貧困、支えてもらった私が「人を支えたい」

3月は卒業の季節。子どもの貧困対策センター公益財団法人「あすのば」で活動している学生たちの中にも、卒業という大きな区切りを迎えた人々がいます。

首都圏学生代表として活躍する高原彩さん(18)も高校卒業を迎えました。高原さん自身、あしなが育英会の奨学金を利用して高校に通いながら、あすのばの合宿運営スタッフや、全国キャラバンの学生代表として、積極的に子どもの貧困に関わり活動しています。立派な学生に見えますが、彼女自身、活動を通じて多くのことを学んだそうです。


高原彩さん(出典: あすのば子ども委員会フェイスブックページ


     ◇


「自分はつらいって思っちゃいけないのかな。」自分の気持ちに向き合っていなかった


私は、あしなが育英会の奨学金を借りて高校に通っていました。母と姉と共に、祖母の家にずっと住んでいます。

父が2歳の時に亡くなったので、私自身、父のことは何も覚えていません。写真で見る父の顔しか知らないのです。でも父の写真もだんだん見なくなっていきました。6歳年上の姉は私よりも父との記憶があって、父を思い出して泣いているのを見ることもありました。でも、父のいない生活が当たり前になって、つらいと思わなくてすむように、過去に向き合わないようにしていました。

「子どもの貧困」がテレビや新聞で取り上げられることが増えてきたのですが、そこで取り上げられるのは、小さいころから食べるものにも困っていたり、生活費を稼ぐためにアルバイトを掛け持ちしたり、わたしよりもずっと大変な思いをして生活をしている人ばかり。自分はつらいと思っちゃいけないのかな、と感じていました。


合宿の夜、キャンドルを灯して語られた、ひとりひとり思いを聞いて


高校2年の夏に、あすのば合宿ミーティングに参加しました。貧困家庭の人や支援団体で活動経験がある人など、全国の高校生、大学生世代の人たちが集まりました。合宿では思っていることをそのまま語り合う「シェアのば」というプログラムがあります。初めて自分の境遇について話す人もいました。「さびしい」という自分の気持ちに気づけなかったこと、親に「一緒に死のう」と言われたこと、いろいろな人の生い立ちを分かち合いました。


シェアのば (出典: 子どもの貧困対策センターあすのばウェブサイト


夜には、キャンプファイヤーを行う予定でしたが、雨で中止になってしまい、代わりにキャンドルナイトが開かれました。キャンドルを灯して、先輩たちが自分の思いを語り始めました。とても心を突き動かされました。私は自分の過去と向き合おうとしていなかったけれど、いつかは自分も、と強く思いました。この思いがあって、子どもの貧困という問題に積極的に関わって活動するようになりました。


キャンドルナイト(出典: 子どもの貧困対策センターあすのばウェブサイト



将来の夢は社会福祉士として人を「支えたい」


将来の夢は、社会福祉士です。困難がある人に寄り添いながら支える仕事をしたいと考えるようになったのは高校3年になってからです。あすのばの活動でお世話になっていた先輩に進路の悩みを打ち明けた時、社会福祉士という資格があることを教えてもらいました。社会福祉士は、高齢者、低所得者、子ども、障害者などさまざまな福祉分野をカバーします。自分がどの分野に特化していきたいのか、広く勉強してから考えたいと思いました。そのためにも、社会福祉に強い大学への進学を希望することにしました。

大学受験は、推薦入試を目指し、学校の勉強をがんばってきました。でも、私が行きたかった大学の指定校推薦は学年で成績1番の子が取るらしいと知って、私には無理だと諦めました。AO入試に切り替えることにして、AO入試の出願をした後、私が指定校推薦枠に入れることがわかりました。とてもうれしかったのですが、指定校推薦を受けるために受験料を再度払わなくてはなりません。受験料は高いので、受験にかかるお金のことを考えるのは、勉強よりもつらかったです。


近くで支えてくれる人がいたから、今の私がある


私自身おばあちゃんと一緒に住むことができて、おばあちゃんが支えてくれたから生活できていると思います。父が亡くなったばかりの時、隣に住んでいた方が遺族年金のことなど、生活に必要な情報を母にいろいろ教えてくれました。母は地域の人たちに支えられて生きてこられたと思います。SNSだけでは作れない、近くにいる人同士のつながりが必要だと思います。近くにいる人が目を向けることで、救われる人がいるということを多くの人に知ってもらいたいです。


あすのばの仲間たちと(出典: 子どもの貧困対策センターあすのばウェブサイト

     ◇

周囲に支えられながら大きく成長した高原さんは、今度は自分が支える人になりたいと、新しい道を歩み始めます。恩返し、ではなく、恩送り。彼女が気づいたことは私たちにとっても大切なことではないでしょうか。


野口由美子



2017年3月2日木曜日

妊娠前から始まる、ママになるためのプロセス。大事なことは?

誰でも妊娠して出産した瞬間から
「おめでとうございます。あなたもママになりましたよ。」

でも、出産して急にちゃんと親になれるわけではないと思います。私も、出産前に母親学級に行ったり、いろいろ本を読んでみたりしましたが、結局あまり実感もわかず、
「本当に自分が親になるのかな。」
不思議な気持ちのまま、出産後は戸惑うことばかりでした。私の母親1年生は落第寸前だったような気がします。

妊娠前から、自分が親になるプロセスが必要だったのかもしれない、なんて今さらですが思います。

オランダには妊娠前に読む母子手帳があります。子どもがほしいけれどまだ妊娠していない人向けに作られているようです。そこには、まさに妊娠前から自分が親になるプロセスについて書かれています。

主な内容は、妊娠する前の生活面、健康面での注意や自然に妊娠することが難しいと感じた時にどのようなことをすればいいのか、相談先や病院のかかり方などの紹介です。

単に赤ちゃんがほしいと思っている人というより、不妊外来に行くことを考えている人、実際に不妊治療中の人、同性カップル(オランダなので同性のカップルが子どもを持つ方法はいろいろあるようです)に配慮されているところが今のオランダの出産事情を反映しているように感じました。

このユニークな母子手帳には、とても大切なことが書かれてました。多くの人にも知ってもらいたいと思い、記事に書かせていただきました。

ママのための子育て情報WEBマガジン「ママスタセレクト」
「妊娠前に読む」母子手帳があるって本当?

一番大事なことは、夫婦で話し合うこと。

子どもを持つことについて夫婦がチームとなって何でも分かち合うことは素晴らしい経験になる、その最初の一歩が夫婦で子どもにいる生活について話し合うことなのだそうです。

知識や情報よりも、「子育てはひとりでやるものではない」ということを家族で共有しておくのが大事。私も今になってようやくわかった気がします。


野口由美子



2017年2月22日水曜日

幼児から、安全なインターネットの使い方を。先生が親に伝えた3つのこと

子どもが安全にインターネットの使うにはどうしたらいい? 

私が子どもだった頃には全くなかった話ですが、今の時代、避けて通れない問題だと思います。でも、そういう問題が重要になってくるのは、文字が読めたり、入力できたりする小学生以上の子どもや大人になってから、というイメージを持っていました。

先日子どもの学校で、保護者向けに安全なインターネット利用についてワークショップがありました。対象は幼稚園から小学校低学年。

赤ちゃんの時からインターネットに触れる子どもたち

子どもがインターネットに触れ始めるのは、平均3歳くらいからだそうです。実際には、もっと小さい赤ちゃんにも機会があるでしょう、というのが先生の話でした。多くの親がユーチューブで子どもに好きなアニメなどの動画をみせている光景をよく見かけますし、うちでもよく観ています。

4、5歳くらいの子どもであれば、ただ画面を見ているだけでなく、アプリを使うことや、ダウンロードもできるようになるそうです。親が気付かないうちに3歳くらいの子がパスワードを入力してタブレットを使っていた、なんて話もよく聞きます。

6歳にもなれば、ワッツアップやフェイスタイムなどを使ってチャットができるようになります。文字の入力がまだ難しくても、いろいろなことが自分でできます。

そして、10歳くらいの子どもなら、SNSが使えるようになります。10代の子どもたちに今人気なのが、スナップチャットやタンブラーといったアプリ。この辺りのアプリの話になると、私はよくわからず、未知の世界でした(他の参加者の親たちも知らない人が多いようだったのでちょっと安心しましたが)。プライバシーの問題や、交友関係の複雑化、一気に深刻な問題に発展していきます。

先生からの3つのポイント

今の子どもたちの環境はこんな感じですが、この先インターネット環境が便利になればなるほど、ネットに触れる子どもの低年齢化が進んでいくことになりそうです。

「子どもが大きくなってから、インターネットの安全な使い方を教えるのでは遅い。」

それが先生からの第1のポイントでした。

学校としてのスタンスは、ネットを使うことにとても積極的で、授業でも多用されています。しかし、インターネットでは、不適切な情報や、不正確な情報を目にすることが簡単に起きてしまいます。

「完全に安全なインターネット利用を確保する方法はない」

それが先生の第2のポイントでした。

子ども用のフィルタリングソフトを使うことや、親の目が行き届く場所で使うこと。そういう方法も一定の効果がありますが、完璧なフィルタリング機能はありませんし、子どもが大きくなるにつれていつも親が監視できるわけでもありません。

では、どうしたらいいのでしょうか。

最後に一番大事な第3のポイント。

「制限することばかりを考えるのではなく、子どもとオープンに話し合って一緒に考えることが大切。」

簡単な解決方法はないようです。

先生は子どもたちにどうやって教えた?

ちょうど同じ日に、先生は子どもたちにインターネットの使い方について話をしたそうです。

先生は子どもたちに聞いたそうです。
「タブレットで大好きなゲームをして遊んでいました。突然画面に現れたポップアップ。ゲームが止まってしまいました。そんな時、どうしたらいい?」
先生は2つの選択肢を出します。

A. 画面をタップしてみる
B. パパやママ、大人を呼ぶ

「どっちがいいかな?」

そして、先生は、ひとつのフレーズに節をつけて、子どもが覚えられるように繰り返し教えていました。

「タップする前に、まず、考えよう。そして、聞こう。」

その日の夜、娘に
「先生とインターネットのお話した? インターネットはどうやって使えばいいの?」
と聞いてみると、「タップする前に------」という節のついたフレーズを歌い出しました。子どもにもわかりやすかったようです。

多分、実際にこのフレーズを子どもが思い出して、考えても、子どもは何もできないだろうと思います。でも、子どもが成長するにつれて、「考える」というステップが重要なのだろうな、と納得させられました。

インターネットは簡単便利なようで、なかなか難しいですね。難しいからこそ、小さい子どもとも一緒に考えなくてはならないことを痛感しました。


参考: Childnet International “Smartie the Penguin”


野口由美子

2017年2月16日木曜日

子ども用ハーネス(迷子ひも)、見かけないのはなぜ

2月になりました。オランダも、まだまだ寒い日が多いですが、少しずつ明るくなり、少し暖かさを感じることもあります。晴れた日には、冬の間誰もいなかった公園で遊ぶ子どもたちを見かけるようになりました。

小さい子どもとのお出かけ、ベビーカーはどこでもよく見かけますが、子ども用ハーネス(迷子ひも)を使っている人は、日本でも海外でも、私が住んでいる辺りではあまり見ることがありません。

「ペットみたいに子どもをつなぐなんて、かわいそう。」
そんなふうに考える人が多いのかな、とも思います。私も同じように思っていましたが、あるきっかけで考え方が変わりました。そのことを記事に書かせていただきました。

ママのための子育て情報WEBマガジン「ママスタセレクト」
気になる子ども用ハーネス(迷子ひも)、使ってみてどうだった?

時々見かけます。自分で歩けるようになった1歳、2歳ぐらいの子。ベビーカーに乗るのが嫌で、自分で歩きたがるし、手をつなぎたがらない。とにかく元気で、歩いているというより、むしろいつも走っている子。

ちょうど、大人が話していることを理解できるか、微妙な年頃なので、いつも言って聞かせたとしても、なかなか子どもはわかってくれない。子ども自身も言葉で自分の気持ちを表現できないので、もどかしさのあまり、かんしゃくを起こしてしまうことも。

こんな子に子ども用ハーネスを使ったら、安心して歩けるのではないかと思うのですが、親として使うことを躊躇する気持ちもわかります。あまり見かけないので子ども用ハーネスをつけている子がいたら、ちょっと目立ってしまうかもしれません。ハーネスで子どもが転んでしまっては意味がないので、使い方にも注意が必要です。必要な時期は短いと思いますし、全く必要としない子もいます。

もっと外が安全だったらいいのになぁ、と思いますが、車や自転車、他の歩行者が全くいない所だけを歩くのは無理ですし、少しずつ車も通る危ない場所も安全に歩けるように慣れていかなくてはなりません。

私は、親子で外に出かけるのが楽しくなくなってしまうのが、何よりよくないことだと思います。ベビーカーでも、ハーネスでも、バランスバイクでも三輪車でも、子どもや親だけでなく、周りの人の気遣いも必要だと思います。


野口由美子

2017年2月6日月曜日

『InRed (インレッド)』 3月号に掲載

当ブログに訪問いただきありがとうございます。
今日は雑誌掲載のお知らせです。

宝島社が発行する30代女性向けのファッション誌 『InRed(インレッド)』の2017年3月号(2月7日発売)にコラムを掲載していただきました。「KID’S STYLE InRed petit」の「INTERNATIONAL TOPIC」という小さなコラムで、オランダのライフスタイルを紹介しています。

いつものブログ記事では文章が中心ですが、今回は写真がメインとなっています。ブログとは違う雰囲気となっていますので、こちらもご覧いただけるとうれしいです。

このコラムでは、オランダの冬の風物詩、アイススケートを紹介しています。私の子どもたちも自分のスケート靴を持っているくらい、スケートが大好きです。




運河でスケートができることは、昔より少なくなったようですが、大人も子どももみんな冬になると、運河が凍らないかな、と楽しみに待っています。夫の職場では、数年前にオフィスの前の運河が凍った時、社内でスケート大会をしたそうで、なんだかのんびりしているなぁ、と思う反面、大人も無邪気になれるところがうらやましくもあります。

寒い、天気が悪い、暗い、と憂鬱になってしまいがちな冬なのですが、大人も子どもも身近に楽しみを見つける、そんなライフスタイルに共感していただけたらうれしいです。

ちなみに、我が家のファッショニスタ(?)の娘と彼女の友達が紙面を飾っています!

これからも、いろいろなご縁を大切にしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。


野口由美子



2017年2月2日木曜日

子どもにイライラしてしまう、怒鳴ってしまう。いつものことにちょっとした変化。

朝起きてから、夜眠るまで、子どもがいると、とにかく慌ただしい毎日。

朝ご飯を作って、食べさせて、身支度させて、保育園や幼稚園に連れて行ったり、学校に行かせたり。夕方もまた、食事を作って食べさせて、お風呂に入れて、寝かしつけて。朝も夜も、j時間に
間に合うよう何とかしなくては、と私も慌ただしく過ごしています。

なのに、全くのんびりしている子どもたち。しまいにはきょうだいでケンカを始められた日には、私のイライラも最高潮。


そこで怒る私。大きな声を出して怒鳴りつけると、あれもこれも言わなくては、と止まらなくなるのです。子どもたちにちゃんと時間を守って行動してもらうため、こんなことを繰り返すのは仕方がないかも。


でも、それで本当にいいのだろうか、ふと考えたことがあります。いつも同じように繰り返しているということは、子どもにこんな怒り方をしても効果がないのでは?

その時私が思い出したことを、記事に書かせていただきました。ご覧いただけるとうれしいです。


ママのための子育て情報WEBマガジン「ママスタセレクト」

子どもとの食事にイライラ、怒鳴ってしまう私が思い出したこと

この記事に登場する私の友人は、名前で呼ばれることをとても嫌がっていました。いつもみんなに

「私のことは本当の名前でなくて、ニックネームで呼んで。」
と言っていました。
「本当の名前をフルネームで呼ばれると、自分が子どもの時に両親に叱られたことを思い出しちゃうから。叱る時はいつもフルネームで私のことを呼んだの!だから今になっても叱られているような気分になる。」

子どもに対して、いきなり大声で怒鳴るのではなく、子どもの名前を呼んでから一呼吸、という彼女の落ち着いた接し方は、彼女のご両親から受け継いだものなのかもしれません。大人になってからも思い出してしまうくらい、ということは、かなり毅然とした𠮟り方だったのかもしれません。叱る時は感情に身を任せる時ではないな、と反省しつつ、大きな声を張り上げない方が気持ちは楽な気がします。


大きな声で怒鳴って怒らないように、と心がけて3年経ちますが、むしろ今の方が「ママは本当は怒ると怖い」と子どもには思われているようです。パパにこっそり話していました。


野口由美子

2017年1月27日金曜日

算数が苦手、できない子。実は親の問題?

自分の子どもが海外の小学校に通うようになり、日本の教育との違いを日々感じていますが、算数については、日本の算数はレベルが高い、と実感しています。国際比較でも、日本は大抵理科と算数の順位が高いですが、親が見ていても、日本の算数は徹底していると思います。

掛け算の九九、暗唱できなくてもいい?

たとえば、日本だったら、小学2年の8歳で習う掛け算。イギリスのカリキュラムでは、5歳から授業で扱われます。早期教育のようですが、到達度はだいぶ違います。

最初の5歳の学年では「2, 4, 6, 8…」や「10, 20, 30, 40…」と数を数える形で習います。次の学年で、掛け算の式の書き方やその意味の理解に重点が置かれ、さらに次の年では9の段まで掛け算を暗唱する練習をします。しかし、ここで完璧に暗唱することは求められません。全部覚えられなくても、忘れてしまっても、翌年にもう一度習います。結局8歳になっても九九を暗唱できない子は結構いるみたいです。という具合に学習の進め方が違います。さらに、基本的な計算力を身につけるということよりも、概念を理解することに重点を置かれているので、ゴールも違います。

掛け算の九九くらいは暗唱できないと日常生活でも困るでしょ、と考える私のような日本人にとって、この算数は物足りないものです。

そんな感じなので、学校で開かれた保護者向け算数のワークショップには、特に何の期待もなく、何となく参加していました。でも、意外な発見がありました。


算数ができるか、よりも

「皆さんは算数が好きですか。」
ワークショップが始まり、最初に先生が私たちに聞きました。

「嫌いな人は?」

すかさず手を挙げる正直な私。私と同じように嫌いな人は多いだろうと思って、周りを見渡したのですが、手を挙げる人はまばら。

「では、好きな人は?」

多くの人の手が挙がりました。私は算数も数学も苦手で、昔から嫌いな教科なのですが、これには、内心驚きました。

1つの答えよりも、大切なことは

ワークショップの中盤で、参加者にそれぞれ小さいホワイトボードが手渡されました。先生は3つの計算問題を出しました。

1) 84+27=
2) 150-74=
3) 7x12=

「この計算をやってみましょう。」

私はそろばんも得意ではありませんが、頭の中で計算して答えをホワイトボードに書きました。書き終わってから、周りを見回してみました。多くの人たちは、まだ終わっていません。式を写したり、ひっ算の式を書いたりしています。あまり計算が得意でない人が多いようでした。でも、そんな人たちでも算数は好きなんだ、と私には新鮮なことに感じられました。

しばらくして、先生が再び話し始めました。

「今、皆さんはどうやって計算しましたか。計算の考え方を子どもと共有するとしたら、どうやって説明しますか。最初の足し算の問題だったら、十の位と一の位を分けて計算することもできますね。ひっ算を書いてみることもできますね。1つの答えを出すことよりも、いろいろなアイディアを共有してみてほしいと思います。」

先生から親へのアドバイス

子どもが算数を嫌いにならないために、どうしたらいいのか。最後に先生からこんなアドバイスがありました。

「子どもにとっては親がお手本です。最初、私は皆さんに算数が好きかどうかを聞きました。親がどう思っているのかということが、子どもに大きな影響を与えます。大人がまず日常生活の中で算数を楽しむモデルとなってください。難しい計算問題を解くことだけが算数ではありません。買い物や料理、工作や音楽も、算数の要素がたくさんあります。狭く考えないで、幅広く捉えてみてください。」

ママ、掛け算のやり方いくつ知っている?

ある日、上の子がこんな計算を書きながら、私に大きい数の掛け算のやり方を教えてくれました。



授業で掛け算の計算方法をいろいろ習ってきたそうで、嬉しそうに披露していました。

「このやり方もあるし、こっちの違うやり方もある。どれでも答えが出るよね。ママ、面白くない?」

問題に正解するのがうれしい、というところに算数の楽しさがあると思っていたのですが、息子はそれ以前のところで楽しさを見つけていました。私も算数が好きにならないといけないな、と反省してます。


野口由美子

2017年1月19日木曜日

最近ちょっと驚いたこと。子どもの担任の先生はLGBT

厳しいと評判の先生

息子の担任の先生は、子どもたちの間で厳しいと評判で、その先生が自分の担任になると聞いた時、息子はかなりがっかりしていました。友達にも、
「大変だね。悪いことをするとすぐ遊ぶ時間をなくされちゃうから、気をつけなよ。」
と同情されていたくらい、評判の先生です。

子どもが通う小学校は、女性の先生が圧倒的に多いのですが、その先生は男性で、年齢は40代半ば、赤毛のひげを生やし、がっちりとした体格で、怒る時の低く落ち着いた声が怖いそうです。

授業中、勝手なおしゃべりをやめないでいると、机といすから離れて教室の後ろに連れて行かれ、一人隔離されてしまうそうです。他の先生だったら、おしゃべりの相手と離されて席を変えられるくらいなのに、というような感じだそうです。宿題を忘れた時に自分から申告しないと、減点、聞いていることにちゃんと返事をしないと、減点。細かいところにもよく目が行き届く先生のようです。


先生がお休みすることに

ある日、学校からこの担任の先生がお休みする連絡がありました。
「先生は、パートナーの○○さんと結婚することになったので、休暇を取ります。」

私はパートナーの名前のところを何度も読み返してしまいました。典型的なオランダ人男性の名前です。

「今度の担任の先生、怖いって言うけれど、それくらいの方が子どもにはいいかなって思った。でも、男性なのに、細かいところまで目が行き届いて女性らしい先生じゃない? 前に担任だった女の先生の方が肝っ玉母さんというか男気あったよね。」
なんて冗談交じりに夫と話していたのですが、私は驚いてしまいました。

でも、ここはLGBTに寛容な国、オランダですので、何も特別なことはなく、そのまま過ぎていきました。お母さん同士の話題になることもなく、クラスの親でお金を集めて花束を贈りました。挨拶にハグする習慣がある母さんは、先生をハグしていましたし、私のようにそういう習慣がない親は握手。子どもには、先生自身から結婚の報告がさらっとされたようです。結婚相手が同性だろうが異性だろうが、学校の授業には関係ないことでした。同性と結婚するのは普通のことで、なんでもないこと。私は過剰に反応してしまっていたようです。


みんながマイノリティになった?

ちょうど先週、子どもの学校で、いじめ撲滅週間がありました。最終日に子どもたちは全員、ピンクの服を着て登校します。

ピンクの服というのは、カナダで実際にあった出来事にちなんだものです。学校初日にピンクのポロシャツを着てきた男子生徒がいじめに遭い、そのことに対抗するためにピンクのシャツを50セントで買って着てきた2人の男子の行動が全校に広がり、学校中がピンクの服の生徒だらけになったのだそうです。現在はいじめ撲滅の世界的な活動として広がっています。

私はピンク色のTシャツを買って用意していました。息子は
「ピンクの服は着たくない。いやだな。」
とずっと言っていました。
「変なのー。ピンクなんて女の子みたいー。」
とさらに横にいた娘が息子をからかい始めます。

当日、息子はしぶしぶ、ピンクのTシャツを着て学校に行きましたが、帰ってきての一言が、
「ピンクを着るのもいいかも。」

男らしさ、女らしさ、○○らしさ、というのもいいのですが、そこからあえて外れる、貴重な体験になったかもしれません。変だと思うのはただの思い込み、何でもないこと、と息子も気が付いたようです。親である私自身も、まだ思い込みで決めつけていることがあるかもしれないなぁ、と気付かされました。


野口由美子







2017年1月14日土曜日

18歳では遅すぎる?オランダの「センター試験」は12歳

今年も受験シーズンが始まりました。大学全入時代といわれる一方で、教育格差といった問題にも注目が集まっています。

高い授業料を払って大学に行く意味があるのだろうか。

そんな問いも繰り返されます。大学をめぐって、いろいろな制度が揺らいでいるようにも思えます。

私自身海外で生活するようになり、日本と全く違う制度が今住むオランダにあることを知りました。オランダでは、大学進学について悩むのは12歳です。

12歳の「センター試験」とは

オランダでは小学校卒業時に将来の進路がほぼ決まります。12歳の小学校卒業学年にCITOテストという全国共通学力試験が実施されます。試験期間は3日間、試験科目は国語、算数、理科、社会、総合学習能力です。日本の大学入試センター試験のように一斉に行います。

実際にはこのテストの結果だけはなく、これまでの学校の成績、普段の学習態度、本人の興味や希望を考慮して、事前に先生から進路のアドバイスがありますが、試験結果が出た後に、小学校卒業後の進路が最終的に決まります。

小学校卒業後は3つのコースに分かれます。大学進学中等教育(6年)、上級一般中等教育(5年)、職業訓練中等教育(4年)があり、どのコースも最初は共通のカリキュラムですが、進級するにつれて、それぞれ教育内容が大きく変わってきます。大学進学中等教育の卒業試験合格者が大学に進学することになります。大学進学中等教育に進むことができるのは全体の2割もいませんが、そこから落第することもあり、卒業試験をパスすることは簡単ではありません。大学はまさにエリートを養成する所です。

これでは、12歳の受験競争が激しくなるのではないかと心配してしまいますが、そういうことはないようです。試験の準備をしたいと先生に相談すると、子どものいつもの力が出せればいいから準備の必要はないと言われます。小学校では、宿題がないのが普通で、時間割をきちんと決めていない学校もあります。子どもは自由でよく遊ぶことが大切。意欲やレベルに合わせて学習を進めるので、小学生のうちから勉強熱心になる風潮自体がないようです。

教育はお金がかかるからこそ

小学校卒業時の試験も、子どもの学習到達度を比較するというより、むしろ、先天的な能力や適性を判断することが重視されているようです。先生から見れば、12歳の時点でそのような能力はすでに明確になっている、ということでした。

本人や家族が大学進学を希望していても、試験の成績が良くなければ認められません。逆に試験の成績が良くても、勉強への意欲がないと先生が判断して、大学進学コースへ進むことを認めてもらえないこともあります。もちろん、後から本人の努力次第で、大学進学コースに編入し進路を変えることもできますが、それは簡単なことではなく、最低1年は余計にかかることを覚悟しなくてはなりません。

子どもの適性に合わせて、将来の進学、就職に直結した教育を行うこの制度は有効だと考えられているようです。社会的な投資として教育に莫大な費用をかけるのだから、効率的に、効果的に行うべき、いうことなのでしょう。このような教育制度は、オランダ特有というわけではなく、他のヨーロッパの国にもあるようです。

オランダでは18歳までが義務教育で基本的に無償です。大学進学中等教育を卒業できば、医学部などの人気学部を除いて、どこでも好きな大学に進学することができます。塾の授業料や大学受験費用も必要ありません。大学は授業料がかかり、近年値上がりが批判されていますが、年間30万円程度の負担です。

何のための進学か、明快に答える先生

自分の子どもが12歳でこの試験を受けることを想像すると、ちょっと私には受け入れられないと思いました。

「12歳で判断するのは早すぎる。もっと子どもの力を見出したり、可能性を広げたり、親や先生がもっと努力できるのではないですか。そのうえで進路を考える機会があった方がいいのでは。」

私は、思ったことをそのままオランダの小学校の先生に聞いてみました。

「うちの子はもっと勉強ができるはずだから大学に行かせたい、と教師に言う親は多いわね。でも、大学に行くことが幸せとは限らない。医師や弁護士になることが幸せだとは限らない。自分の適性に合った職業に就いて社会に貢献できることが幸せにつながるのではないかしら。」

親の立場からは良い制度だと思えなかったのですが、考えさせられる問題は大切なものでした。


野口由美子


2017年1月4日水曜日

ママが一番じゃない?子どもの心も複雑です

あけましておめでとうございます。
当ブログに訪問いただきありがとうございます。

昨年は、ブログを通じて、いろいろな方と接する機会をいただきました。
ブログをやっていなかったら、決して接点を持つことがなかっただろう方々との関わり合い、とても貴重な経験になっています。

今年も多くの方との出会いを大切にしていきたいと思います。Facebookでのブログへのコメント、Twitterのメッセージ、Instagramのいいね。メールや電話、お手紙。どれもいいものですね。

どうぞ今年もよろしくお願いします。


最近私の子どもたちは友達の家にお泊りし合うのが流行っていて、その時のエピソードから記事を書きました。ご覧いただけるとうれしいです。

ママのための子育て情報WEBマガジン「ママスタセレクト」

「ママが一番」じゃない子が見せた意外な行動

この時うちに泊りに来た子は、下の子の友達で、5歳のフランス人の女の子。母親は仕事で家にいないことが多く、ほぼ父親(時々シッターの女性)が子どもたちの世話をしているそうです。私自身その子の母親とメッセージのやり取りしかしたことなく、会ったことすらありません。遊ぶ約束をするのも父親の方に話します。

うちに泊まりに来た翌日の土曜日は母親が在宅していると聞いていたので、その子を家まで送っていきましたが、行ってみたら外出していてシッターの方しかいませんでした。

もうちょっと母親も子どもと一緒にいてあげないと、子どもがかわいそうじゃない?

ご自身もそう思うことがあるかもしれませんし、他人からそう思われてしまうこともあるかもしれません。

でも、母親が一緒にいる、いないということ以上に、その子にとってはママが一番で、母親の愛情を感じていられると安心できるみたいです。母親が実際に一緒にいるから感じられる、というものではないのですね。

母親が一緒についていなくても、子どもの心は母親の愛情に満たされているのかもしれません。そんなことを感じずにはいられない夜でした。


野口由美子