2018年3月2日金曜日

日本は豊か? ランキング下位の国で子どもが見たもの

先日家族旅行で初めてのアフリカ大陸、初めてのイスラム教国を体験してきました。モロッコのマラケシュ。アフリカ大陸では旅行しやすいといわれているし、ヨーロッパでも日本でもない国で違う文化に触れられていいのではないかなあ、イスラム建築も見たいし、モロッコ料理も食べてみたい、くらいの気持ちでした。

旅行しやすいといっても、治安は決して良くないはず。スリ、ひったくり、ぼったくりのタクシーやお店、無理な客引き、食あたりなどなど、いろいろトラブルを想定していました。日本人の子ども連れなんてすごく目立ちそうです。


アフリカ大陸に初めて来た子どもの感想


実際、街に着いてみると、人が多い所では不用意にカメラや携帯電話を取り出すのは危ない雰囲気。タクシーに乗っても、ここ車通れるの? と思ってしまうようなひどい舗装の道、歩行者とスクーターでごった返す中を通って行きます。交通ルールがあるのか、どういう秩序で車が通っているのかよくわからない混沌とした感じ。子どもたちが到着して早々に言いました。

「ここ好きじゃないよ。帰りたい。」

私は街の雑踏を見て、ベトナムやカンボジアを旅行した時のことを思い出していましたが、経験が少ない子どもたちにはショックだったようです。

街の中で息子と同世代くらいの子どもたちが時折息子に声をかけてきます。

「チャイナ!」

「あっち行け。」

なんでそんな英語を知っているだろう。不思議に思う私の隣で、息子は反射的に言葉がわからないような、聞こえないようなふりをしてそのまま足早に通り過ぎました。もちろんいい気はしなかったと思います。

逆に娘は、どこでも男女問わず大人に人気(?)でやたら声をかけられたり、頭を撫でられたりしていました。うちの子、猫じゃないんですよ、と確かめたくなるくらいで、子ども好きの人が多いのかも。娘はそれが恥ずかしかったようで、ずっと隠れるように歩いていました。

道路もきれいじゃないし、がれきの山のような廃墟が至る所にある。水道の水も飲めないし、お店で売っている物でさえ食べていいのか不安。人々もあまりきれいな格好をしていない。その様子を見た息子が言いました。

「変だよ。オランダとも日本とも全然違うし。」

「今まで旅行で行った国とは全く違うよね。きれいじゃないし、ちょっと怖い感じがする? 貧しいって思う?」

無言で大きくうなずく子どもたち。ここでパパがはっきり言いました。

「いや、これくらいか、もっと貧しい国が世界のほとんど。これが普通か、ちょっといいくらいなんだよ。今まで行ったことのあるヨーロッパの国や日本は世界のほんの一部。その国に住んでいる人は世界の人口の2割もいない。日本の方が特別なんだよ。みんなで一緒にいろんな所に行ったと思っていたけれど、世界のほんの一部の、豊かでいい所しか行っていなかったんだよ。」

特に息子にとっては衝撃だったようです。

(こんな子どもたちの話ではモロッコの印象が悪くなってしまいそうですが、実際には旅行中トラブルもなく、しつこい客引きや詐欺に狙われるのでは、と思っていた私には若干物足りない(?)くらい、大丈夫でした。モロッコ旅行自体はとてもよかったのです。)




バヒア宮殿は美しく、子どもも見入っていました。




マラケシュ一番人気の観光地、マジョレル庭園はむしろ洗練されていました。


リアド(宿)から一歩出ると、車も通れないような狭い迷路の道と廃墟。

日本は豊かな国?


息子は、今までの旅行の経験から、日本は世界で真ん中くらいの豊かさだと思っていたそうです。

私は息子の「真ん中」という感覚が面白く思い、試しに国連による人間開発指数のランキングから、今まで行ったことのある国の順位を見てみました(豊かさをどう比較すべきか難しいですが、とりあえず)。

1位  ノルウェー
2位  スイス
4位  ドイツ
5位  デンマーク
7位  オランダ
8位  アイルランド
9位  アイスランド
14位   スウェーデン
16位   英国
17位   日本
20位   ルクセンブルク
21位   フランス
22位   ベルギー
26位   イタリア
27位   スペイン
29位   ギリシャ
30位   エストニア
37位   リトアニア
41位   ポルトガル
44位   ラトビア
45位   クロアチア
56位   ブルガリア

123位  モロッコ

(出典: 国連開発計画 「人間開発報告書2016」


今まで私たちが旅行したヨーロッパの国を並べてみると、日本より上位が9カ国、下位が12カ国ありました(指数を見ると、日本と順位が近い国の差は僅少なので、あまり上下の関係はないかもしれません)。行ったことあるといっても、所詮私たちは言葉もまともに話せない旅行者で、行き先はほとんど観光地やリゾート地のような所だったはず。その国のほんの一部を断片的に見ただけだったのに、息子の感覚が意外と当たっているのに驚きました。

そして世界のランキングはもっと下まで、188位まで続きます。息子だけでなく、頭ではわかっているはずの私も今更ながらショックでした。


なぜ自分は豊かで、彼らは豊かでないのか


やはり子どもにとっては、この歴然とした豊かさの差が理解できないようで、その後毎日のように質問攻めにあいました。私も自分が学び直すつもりで、世界史の近代史をマンガで一緒に読み、経済や政治の仕組みの話を何回もしました(息子はまだきちんと理解できていないようで、なんとなく、ちょっとわかったかも、という感じでしたが)。

こんなモロッコ旅行の話を、私の父(子どもたちのおじいちゃん)に話していたら、こんなことを言われました。

「世界の平和など、どこの世界のことなんだ、ということ。きっとこの子たちは何かをやり始めると思います。多分黙っていないよ。」

もちろん、私の父は、子どもたちが偉人みたいに「特別」で立派な人間になる、と言いたかったのではないと思います。今は世界の格差が広がっているかもしれない。でも未来には、子どもたちのような「普通」の人間が「普通」に行動することで、世界をよくすることができるようになるのではないか、そんな意味に聞こえました。私は父とあまり話さないのですが、父に少し希望をもらったような気がしています。


野口由美子

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