2018年5月7日月曜日

かこさとしさん、やさしくない絵本に添えたやさしい手紙

かこさとしさんが、2018年5月2日に92歳でお亡くなりになりました。

私もかこさとしさんの本には特別な思い出があります。


「だるまちゃん」も「からすのパンやさん」も読んできた


私が小学校1年生くらいの時、学級文庫にかこさとしさんの本があり、「だるまちゃん」シリーズや「からすのパンやさん」などを読んでいました。子どもだった私にとっても、かこさとしさんの本は

「他の絵本と違うな。」

と肌で感じていて、引き込まれるように学級文庫にあったかこさとしさんの本を全部読みました。

「日本の子どものために日本を描く」独特のタッチ、でも情緒に流されない冷静な視点。親になった今は、子どもと一緒に絵本を開きながら、そういう「ほかの絵本とは違う」魅力を感じます。

かこさとしさんの一ファンに過ぎない私ですが、ひょんなことから、かこさんとご縁がありました。


かこさとしさんの思い出


私がブログ記事で、かこさとしさんの絶版した本を紹介したのがきっかけで、その本が復刊されるという出来事がありました。

投票って何? ある絵本に驚きの答え

たまたま時流に乗った内容だったので反響が多かったということかもしれません。ちょうど日本は選挙を控えている時期、海外ではイギリスでのEU脱退の国民投票やアメリカでのトランプ大統領の当選など、選挙結果について議論が沸き起こることが増えていました。

この絵本は「こどものとうひょう おとなのせんきょ」というタイトルで、子どもに選挙や民主主義の考え方を伝える内容です。しかし、この絵本は楽しくお勉強するだけの絵本ではありません。絵本の最後には子どもと一緒にこの本を読んでいるであろう「大人」を痛烈に批判するという、大人が読むとつらいラストが用意されています。

こんな大人にやさしくない絵本を作っても絶対売れないだろうし(絵本を買うのは大人です。そして実際に絶版になったわけですが)、あえてそれを堂々と正面から取り組んだ作者の意識には頭が下がる思いでした。

そして、絵本の出版から30年近く経った今もその批判は厳しいものです。この絵本が今読まれるというのは大きな意味があるのかもしれないと思いましたが、私はやっぱりただの一ファンに過ぎず、遠くから復刊を喜んでいるだけでした。


やさしい手紙


後日、思わぬことがありました。かこさとしさんご自身のサイン入り絵本が私の元に届けられたのです。


絵本に書かれたサインを見たときは舞い上がる思いでした。


しかも自筆の手紙まで添えられていました。


はるばる海外から拙作旧版のものをめざとく見出してくださって、有難うございました。

と感謝の言葉があり、最後には


何らかの機会にお目に書かれれば幸いです。どうぞご自愛の上御家族皆様によろしくお伝えの程

とありました。単なる一読者に過ぎない私に心遣いの言葉をかけてくださっていました。私は完全に舞い上がってしまい、自分のことでこんなに驚いたり喜んだりしたのは何年振りかわかりませんでした(自分の子どものことだったら、いつも色々な意味で驚いているのですが)。

「こどものとうひょう おとなのせんきょ」の厳しい語り口も「だるまちゃんとてんぐちゃん」のほのぼのとしたストーリーも、子どもに(かつて子どもだった人にも)やさしい作者の心から生み出されたものだと、その筆跡を見ながら思いました。

心からご冥福をお祈りします。


野口由美子

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